AKIYO先生
AKIYO先生
執筆者:ビジネスコミュニケーション専門家 太田章代

大企業では2020年6月から「パワハラ防止法」が施行されて、社会的にもハラスメントは関心が高くなっています。パワハラは誰もがダメだとわかっているにも関わらず、まだ職場ではパワハラ事例がたくさん出てきます。

パワハラがなくならない理由の一つに『パワハラをしている人がパワハラをしている事に気づいていない』という事があげられます。そこで企業は私達のような外部の研修講師にハラスメント研修を依頼して改善を促すのです。

研修講師の私が感じたパワハラ体質な人の特徴があります。

それは「自分は厳しく育てられて今があるが、なぜ厳しくしてはいけないのですか」とおっしゃる事です。自分が受けた教育を巡り巡って部下に同じことをするのは分かります。しかし、今は時代が違います。社会的にも、人の気質的にも、昔の指導方法は現代に合っていません。

これよりは、研修時に会ったパワハラ体質の方の事例と、パワハラ対策について具体例をご紹介します。パワハラ防止の参考になさってください。

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動画でも学べます。聞き流すだけでも理解できますよ!

事例1「シンクロの井村コーチは厳しい指導でオリンピック金メダルを獲得した」

50代前半男性 管理職 事務
「シンクロナイズドスイミングの井村コーチは厳しい指導で、オリンピックで金メダルを獲得することができました。私も上司からの厳しい指導で、今のポジションにつくことができました。それでも厳しいのはダメなんですか」

とご質問をいただきました。確かに井村コーチは厳しい指導で有名で、選手たちは金メダルを獲得した時に「つらいことばかりだったけれど、井村先生についてきて良かった」と感謝の言葉を送っています。厳しくても感謝されるのは、下記の点で該当していることが前提です。

・あなたの部下はオリンピックを目指すくらい仕事にモチベーションが高い部下ですか
・同じ目標を共有しており、結果を出すために本質的な指導はしていますか
・部下から信頼され、厳しい指導にも信じてついてきてくれる関係性はありますか

厳しく指導することが全て悪いとは思いません。時には厳しさもないと結果が出ないと思っています。しかし、その厳しさが相手にどう伝わるかということです。この男性は、仕事へのモチベーションも高く、厳しい指導にも耐えられる精神力もあったのでしょう。自分は厳しくても良かったかもしれませんが、部下が同じという事はありません。パワハラ対策は自分と他者の違いを認めることから始まりますね。

事例2「仕事をミスしたら厳しく指導しないと直りませんよね」

40代後半女性 製造
「仕事をミスしたら厳しく指導するのは悪いことだと思いません。そうしないといつまでたっても直りませんよね?私は怒られて、ダメと言われてそれをバネにして努力して強くなってきました。」

と、ご質問をいただきました。上記にも書きましたが、時には厳しく指導することは悪いと思いません。しかし、以下のことが該当することが前提です。

・指導の目的が、後輩の成長のためになっていますか
・指導の結果、後輩が成長していますか
・怒鳴ったり、感情的にならずに冷静に指導できていますか

この女性の場合は、怒鳴ったりして厳しく指導する(怒鳴るのは指導ではありませんが)ので、後輩が次々と辞めてしまい社長が困っていました。技術的には優れているので、自分と人を比べて「何でできないの」と怒ってしまうのです。仕事ができる人なので、できない人にイライラしてしまうかもしれませんが、すべて自分が正しいと思い込んでしまうとパワハラになりやすくなります。『自分が正義』ではないと心得ることです。

パワハラ体質から、適切な指導者になるための心構え

・自分と他者の違いを認める
・自分が正義ではないと心得る
・指導するときは冷静に指導する
                                           
私の感覚では、パワハラ体質の人は頑固な人が多いので、研修をしても受け入れてくれない人もいます。周りが注意しても、研修に出て気づいても直らない場合は、部下と合わないだけの場合もあるので部署異動や、部下や後輩をつけずに指導という立場を与えないという方法もあります。
パワハラをなくして、安全で安心な職場づくりをしたいものです。

アイキャリア太田章代アイキャリア株式会社 代表取締役 太田章代
ビジネスコミュニケーション専門家、講演家

企業・団体でのコミュニケーション研修、ビジネスマナー研修など、1,700回以上(2020年現在)登壇。ビジネスコミュニケーションを研究し、職場の上司と部下の人間関係を改善するなど評価を得ている。
著書:引寄せ営業の法則、気がつけば誰からも好かれる人になっている3の法則
YouTubeチャンネル:研修トレーナーAKIYO先生【太田章代のビジネスコミュニケーション術】