教え方がわからない!新入社員教育の効果的な4ステップ

2022年09月27日 2024年05月25日 新人育成担当者向け

太田章代
執筆者:新人育成トレーナー 太田章代
日本一気さくで身近な研修講師を目指している、太田章代です。

新入社員が入社してきたが「教え方がわからない」「新人とのどう接すればいいのかわからない」とお悩みの新人育成担当者は多いでしょう。

新人を一日も早く戦力化するためにも、何となく育成するのではなく、効果的な育て方を知って、自信を持って育成をしたいものです。

そこで今回は、新人育成を任されたら知っておきたい、新入社員育成の目的と、新人社員の育て方のポイントまでご紹介します。ぜひ参考になさってください。

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新入社員育成の「目的」

まず、新人育成の目的をしっかり頭に入れておきましょう。新人育成の目的は主に2つで「戦力の向上」と「人材の確保」です。

 

「戦力の向上」について

新人は組織の一員として、一日も早く戦力化できるように育てることが重要です。戦力化するために新人の受け入れ態勢を整え、計画的に仕事のスキルやビジネスマナー等を教えていきます。

 

「人材の確保」について

厚生労働省が発表している公共職業安定所における求人、求職、就職状況のまとめ「一般職業紹介状況」によると、2022年7月の有効求人倍率(注1)は1.27倍でした。ここ数年の就職市場は、求職者に有利な「売り手市場」が続いています。

また、少子高齢化によって労働力人口は減少していきますので、この先も売り手市場が続くことが予想されています。その結果、人材の確保がさらに難しくなるため、新人育成を通して定着率を上げていく必要があります。

(注1)有効求人倍率とは 有効求人数÷有効求職者数=有効求人倍率

例えば企業が出している求人件数が10件、それに対して仕事を探している求職者数が5人だとすると、10÷5=2.0倍になります。1人に対して2件の求人があるので、「売り手市場(求職者が有利)=就職がしやすい状況」です。

また、企業が出している求人件数が5件、それに対して仕事を探している求職者が10人だとすると、5÷10=0.5倍になります。1人に対して0.5件の求人があるので「買い手市場(企業が有利)=就職が難しい状況」です。

 

新入社員の教え方4ステップ

人材育成の場においてよく出てくる、大日本帝国海軍の司令長官を務めた山本五十六の「やってみせ、言って聞かせて、させてみせ、ほめてやらねば、人は動かじ」という名言があります。

これは、部下を育成する上で現代でも参考になる考え方です。この言葉にある4つの段階を、それぞれのパーツにわけてみていきましょう。

 

1.「やってみせ」 自分がお手本となりやって見せる

新人育成の第一歩は、まず自分がお手本となり「やってみせる」ことです。新人は仕事をする上司や先輩の姿を見て、自然に学んでいます。

新人は全て新しいことを覚えていくため、言葉で言われただけではイメージが掴めない事が多いものです。そこで、お手本を見せることで仕事への理解度が高まるのです。

また、新人は仕事に対する姿勢も見ています。目標に対して諦めない姿や、報告・連絡・相談を自主的にしている姿、最後まで責任を持って仕事をする姿など、前向きに仕事をする姿を見せるように意識をしましょう。

 

2.「言って聞かせて」 しっかり説明をして理解してもらう

やってみせた後は、しっかり仕事を説明して聞かせます。せっかちで頭の回転が早い人ほど、一方的に説明をしてしまう傾向にあります。説明の途中で何度か「ここまでで質問はありますか」など問いかけて、新人に伝わっているか、理解できたか確認をしながら説明をするようにしましょう。

また新人に主体的に仕事をしてもらうためには、仕事の「意義」や「目的」を伝えることが重要です。意義や目的を理解せずに仕事をすると、目の前の仕事をこなすだけになってしまいます。「何のためにこの仕事をするのか」「自分の仕事がその後どのようにつながっているのか」を明確に伝えると、その仕事をする重要性もわかり、仕事に対する姿勢も変わってくるでしょう。

伝え方の例/

「会議の議事録を作成してください」

「会議の議事録を作成してください。議事録を作成する目的は、会議で議論された内容や、決められたことを記録し、会議の参加者や参加できなかった人に情報共有をすることです。議事録があることにより、関係者に正しく情報が伝わり、業務の効率化につながります。」

上記のように目的がわかると、議事録を作成する際に「情報を漏れなく伝えよう」「読みやすいように簡潔に書こう」「会議不参加の人にもわかるように書こう」など、自分で考えて行動するため、仕事のクオリティも上がります。

 

3.「させてみせ」 実践をしてもらう

仕事を説明し理解してもらったら、新人にやらせてみせます。

新人のうちは大きな成果を上げることが難しいものです。小さなことでも成功体験を積ませることが、新人の自信になっていきます。そのために、小さなゴールを設定し、達成感を味わってもらうことも大切です。

また、実践してみるとわからない事が出てきます。「不明点はそのまま進めるのではなく、すぐに確認してね」と伝え、質問しやすい雰囲気をつくっておきましょう。業務が終了したら『完了報告』をする習慣も新人のうちからつけておくといいですね。

 

4.「ほめてやる」 仕事ぶりを観察して褒める

実際に仕事をしているところをしっかり観察して、良いところは褒めるようにします。

新人のうちは完璧に仕事ができるわけではありません。「褒めるところが見つからない」という人もいますが、100のうち60でもできていれば、できている部分に目を向けて褒めましょう。もちろん改善点も伝えますが、叱られてばかりだと、どんどん自信を無くして、仕事への意欲も喪失してしまいます。

また、山本五十六は「承認」の大切さも語っています。「ほめる」は相手の良い点や良い成果を肯定的に評価し伝えることです。それに対して「承認」は、相手の存在を認めるということです。

人は認められることで安心感を持ち、自分を信頼する気持ちが生まれます。自己信頼が増すことで、仕事へのモチベーションの向上にもつながります。

 

まとめ

新人育成の4ステップはいかがでしたでしょうか。新人育成だけではなく、部下育成全般に有効ですので、ぜひマネジメントの参考になさってください。

1.「やってみせ」自分がお手本となりやって見せる
2.「言って聞かせて」 しっかり説明をして理解してもらう
3.「させてみせ」実践をしてもらう
4.「ほめてやる」仕事ぶりを観察して褒める

上記を意識し、新人育成担当者として新人を一日も早く戦力化させていきましょう。

 


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執筆者プロフィール

新人育成トレーナー
アイキャリア株式会社
太田 章代
企業・団体でのコミュニケーション研修、ビジネスマナー研修など、2,000回以上(2023年現在)登壇。 プロフィール詳細

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