パワハラと指導の境界線とは?実際のパワハラについての質問と解決策あり

2023年01月09日 2023年10月27日 新人育成担当者向け

太田章代
執筆者:新人育成トレーナー 太田章代
新入社員研修専門の研修トレーナー太田章代です。

パワハラ防止法は、2020年6月1日より大企業での施行に続き、2022年4月1日より中小企業にも義務化されました。

管理職の方達からは「パワハラになりそうで部下を注意ができない」「指導したつもりがパワハラだと思われてしまった」など、指導の難しさを嘆く声が聞かれます。

そこで今回はパワハラの基礎知識と、実際職場で起きているパワハラに関するお悩みを解決していきます。ぜひ参考になさってください。

YouTube版も公開しています

太田章代
動画でも学べます。聞き流すだけでも理解できますよ!

パワーハラスメントとは

まずは、パワーハラスメントとは何かについてご説明します。

職場のパワーハラスメント(パワハラ)とは

1.優位性を背景に行われること 2.業務の適正な範囲を超えて行われること 3.精神的・身体的な苦痛を与え、就業環境を害すること
以上の3つの要素を全て満たすものとされています。

ハラスメント行為を受けたら

厚生労働省によるハラスメント行為を受けたときの対応法は以下の通りです。

1.「やめてください」「私はイヤです」と意思をはっきり伝える

⇒上司にはっきり言える人は少ないと思います。また言えても、その後の人間関係を考えると自分が我慢すればいいと思ってしまうことも多いでしょう。

2.一人で悩まず、上司や人事担当、社内または社外相談窓口に相談

⇒ハラスメント窓口がどこか知らない人がいるので、周知する必要があります。また、小規模な企業はハラスメント相談窓口がない企業が多いため、上司に相談することになります。しかし、その上司からハラスメントを受けてしまう事もありますので、その場合は社外に相談することになります。

ハラスメントに関する相談を受けたら

厚生労働省によるハラスメントの相談を受けたときの対応法は以下の通りです。

1.プライバシーは厳守する

⇒他言して欲しくないことが多いデリケートな問題です。信頼をなくさないように、相談者のことを考えてプライバシーを厳守するようにします。

2.相談者の了解を得て、上司や人事担当に報告し、対応について相談をする

⇒相談者が何を求めているのかを把握して行動するようにします。「話しを聞いて欲しいだけ」のときもあり、勝手に相談窓口に報告をしてしまうと余計なお世話になることがあるので注意が必要です。

パワハラに関する『上司』のお悩み

「パワハラ防止研修」に登壇したときに伺った、上司のお悩みと解決策をみていきましょう。
50代男性 管理職 ハラスメントは受けた側の主張だと聞いたことがあります。どこまでは指導でどこまでがパワハラになるのかわからず、指導がしづらくて困っています。
A:このお悩みは、パワハラ研修で一番よく耳にします。確かに、指導した部下が精神的苦痛を受けて「パワハラだ!」と主張すればパワハラになってしまうようなら、怖くて何も言えなくなってしまいます。しかし、パワハラの定義では「客観的にみて業務上必要な範囲で行われる適正な業務指導は、パワハラには該当しない」と言っています。つまり受けた側の感じ方だけで、パワハラ認定されることはないということです。ただ「業務上に必要な指導」だったとしても、感情的に叱ったり、言葉が乱暴だったりするとパワハラになることがあるので注意が必要です。指導するときは、部下の成長を目的として冷静に指導するようにしましょう。

40代女性 部下に事務ミスを指導していたら、名前を呼ぶだけで驚かれるようになってしまった。威圧を与えてパワハラになっているのではないかと心配しています。
A:最近の若年層は、学校や親御さんに叱られて育ってきていない人が多いため、社会人になり叱られると驚いてしまう人が多くなっています。事務ミスを指導するときに、知らないうちに語気が強くなったり、言い方がキツくなっていないでしょうか。また叱るだけではなく、承認したり褒めたりしていますか。叱ってばかりだと「また何か言われる」と反射的にビクッとしてしまうかもしれません。部下の指導の目的は、部下の成長を支援することにあります。部下が成長するために、承認7:叱る3の割合を意識して指導しましょう。

パワハラに関する『部下』のお悩み

続いて、部下のお悩みと解決策をみていきましょう。
20代男性 上司が毎日感情的になって怒ってきます。自分の仕事のスピードが遅く、それが怒りの原因となっているため努力はしています。しかし、上司の求めているスピードで仕事ができず申し訳ないとは思いますが、毎日怒られると精神的に辛いです。
A:「感情的に怒らないでください」「私は辛いです」と意思をはっきり言えたらいいですよね。でも言えないから悩まれていると思います。しっかり向き合ってくれる上司なら、「私の力不足で、申し訳ございません。私としては〇〇さんに言われていることを改善しようと取り組んでいますが、成果が出せていません。お手数ですが、スピードをアップさせる方法をアドバイスいただけませんか」と、改善策を聞いてみてもいいと思います。ただ話しを聞いてくれない上司の場合は、何を言っても「とにかく早くやれ」としか言わない可能性があります。その場合は、一人で悩まずに周りの信頼できる人や、ハラスメント相談窓口に相談して解決します。それでも解決できない場合は、精神的に病んでしまう前に逃げる(会社を辞める)ことも、選択肢として持っておきましょう。

まとめ

ハラスメントのある職場は、加害者・被害者だけの問題ではなく、職場全体の空気が悪くなります。職場全体でハラスメントのない働きやすい職場づくりをしていきましょう。

研修資料ダウンロードバナー 研修実施報告一覧リンク

            

            

            

            

執筆者プロフィール

新人育成トレーナー
アイキャリア株式会社
太田 章代
企業・団体でのコミュニケーション研修、ビジネスマナー研修など、2,000回以上(2023年現在)登壇。 プロフィール詳細

新着記事

カテゴリー

  • はじめて新人研修の導入をお考えの担当者様へ
  • 研修会社の切り替えをお考えの方へ
  •               
  • 無料お役立ち資料
  • ビジネスマナー習得7ステップセミナー
  • はじめて新人研修の導入をお考えの担当者様へ
  • メールマガジン登録
  • YouTube「新人育成トレーナー太田章代のビジネスコミュニケーション術」
page up