
仕事をしていると、顧客や取引先に謝罪する場面があります。その時に、相手はお辞儀ひとつでこちらの感情を読み取っていることをご存じですか。
お辞儀は言葉以外の部分で感情を伝える『非言語コミュニケーション』です。言葉そのものよりも、言葉を発した時の態度や声のトーン、表情などで相手の感情を読み取ります。
これよりは謝罪をするときに、申し訳ないという気持ちが一番伝わるお辞儀の角度と秒数、またお辞儀の仕方までご紹介します。
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動画でも学べます。聞き流すだけでも理解できますよ!
芸能人や企業の謝罪にみるお辞儀の在り方
お辞儀は日本の文化であり、コミュニケーションの一つです。謝罪においては「申し訳ございません」という言葉と共に頭を下げてお辞儀をします。私達は当たり前のようにお辞儀をしていますが、お辞儀を軽くみてはいけません。
メディアで目にする芸能人や企業のトップがする謝罪は、お辞儀だけで印象を大きく左右するため、リスク管理コンサルタントがついていてるケースもあり、お辞儀の練習をしています。企業で上層部4人が一緒に頭を下げるとき、練習していなければチアリーディングのようにきれいに揃うことはないですよね。謝罪にはこんな例があります。
保険の不適切な販売で謝罪。3人で90度10秒頭を下げた。
セブンペイ問題で不正利用が発覚し謝罪。4人で90度7秒頭を下げた。
大麻取締法違反の容疑で逮捕。大きな声で謝罪したあと、長い時間地面に額をつけて土下座をした。

これは一例ですが、「お辞儀が長すぎる」「パフォーマンスだ」「引いた」「痛々しい」等の声があがっていました。長すぎたり、大げさなお辞儀は『頭を下げておけばいい』と思われ、逆に評判が悪かったようです。
余談ですが、企業の謝罪会見は写真も動画も撮られていてメディアに流れます。
少し長く頭を下げていないとカメラマンがシャッターチャンスを逃してしまうのでパフォーマンス的な部分も否めないところがあると思います。
お笑いタレントの狩野英孝氏が女性問題で謝罪会見をしたときには、「迷惑をかけた方々に謝罪をしたかったんですが、マスコミはお辞儀の秒数は何秒だとしか取り上げてくれなかった」と言っていました。それくらいお辞儀の角度や秒数は、相手に与える影響が大きいのです。
秒数が短いと『反省が足りない』と言われ、長いと『わざとらしい』と言われる。人の捉え方はまちまちなので、全ての人に完璧なお辞儀だったと言われることはできないという事です。「頭を下げておけば何とかなる」というパフォーマンスは、しっかり相手に伝わります。
お辞儀の基本マナー
私が企業研修でお辞儀の仕方をお伝えするときには『お辞儀は感謝やお詫びなど気持ちに比例して、自然と角度も深くなっていくもの』とお伝えしています。しかし、これではどれくらい頭を下げないと気持ちが伝わらないかわからないので、目安として角度をお伝えしています。
お辞儀は深いからいいというものではありません。例えば会社の廊下ですれ違ったときに、相手から深々とお辞儀をされたら恐縮してしまいませんか。TPO(時、場所、場合)に合わせたお辞儀として「会釈」「敬礼」「最敬礼」の3つのお辞儀を覚えて使い分けましょう。
また先言後礼(せんげんごれい)【意味:言葉を先に言って、後で礼をする】ことが正式な挨拶の作法です。しかし個人的に「申し訳ございません」のような謝罪の言葉と礼は同時におこなった方が伝わると思っています。謝罪会見などの公での謝罪などは。先言後礼の方が見栄えという事ではいいかもしれません。


これはダメ!印象が悪いお辞儀
何度もペコペコお辞儀をする
お辞儀は1回しっかりすれば気持ちは伝わります。歩きながら何度もペコペコお辞儀をすると、軽々しいイメージを持たれてしまいます。
お客様より先に頭を上げてしまう
お客様より深くお辞儀をして、後に上げることにより感謝やお詫びの気持ちが伝わります。
顔を前に向けたままお辞儀をする
お辞儀をする時は、自分の急所である頭を下げて気持ちを伝えます。
お詫びの気持ちが伝わるお辞儀
②お辞儀の角度と秒数
この2つを、相手にお詫びの気持ちが伝わる事を基準に考えた結果
②45度最敬礼で頭を下げて4秒止まる(3秒と言いたいですが、ちょっと長いなと思うくらいが伝わると思い4秒にしました)
45度5秒、90度7秒など、色々な考え方があると思います。マナーは相手への思いやりの心の在り方を表現したものです。絶対これをしないといけないという事ではありません。お辞儀でお詫びの気持ちを表現するときには、ご自身が相手に一番伝わる角度と秒数を考えたものが答えだと言えるでしょう。
上記以外にも、神妙な表情で、服装は落ち着いた色合いで身なりを整え、声のトーンは低めにすることは、お詫びの気持ちを伝える上で必須です。
まとめ
謝罪は心ありきです。お辞儀は角度や秒数にこだわる必要はありませんが、どうしたら相手にお詫びの気持ちが伝わるかを考えたときに、適度に深く長い方が伝わります。
許してもらいたいという事を目的にしてお辞儀をすると、嘘くさい表面上のお辞儀になってしまいます。心が伴っていなければ意味がありません。パフォーマンスと思われないようにしっかり反省して、同じミスを起こさないようにすることが大切です。また失敗を糧にして、相手からの信頼を回復できるように成長していきましょう。