新入社員の離職を防ぐ「リアリティショック」4つの対策【新人教育担当者様向け】

2024年03月18日 2024年04月07日 新人育成担当者向け

新入社員育成専門の研修トレーナー太田章代です。
新入社員の離職の原因として「リアリティショック」があるのをご存知ですか。


新人教育担当者や管理職の方は、新入社員が入社後に悩まされるリアリティショックを理解して対策を立てておくことをお勧めします。


ここではリアリティショックについて詳しく解説します。新入社員の早期離職を防ぐために参考になれば幸いです。


YouTube版も公開しています

 動画でも学べます。聞き流すだけでも理解できますよ!


リアリティショックとは


リアリティショックとは、新しい環境に身を置いた際に理想と現実のギャップに衝撃を受けることです。これはアメリカの組織心理学者E.C.ヒューズによって提唱されました。新入社員は入社前に仕事内容や人間関係など理想を描いて入社してきます。しかし入社後に現実が大きく違った場合、リアリティショックを受けることがあるのです。


「思っていたより仕事が楽しかった!」というプラスの違いならいいのですが、「思っていたより仕事がキツイ」などマイナスの違いがあった場合、仕事へのモチベーション低下につながります。リアリティショックを受けると不安や不満を持つようになり、離職してしまうこともあるのです。


リアリティショックを感じる社会人は76.6%


2019年に株式会社パーソル総合研究所が若手社員を対象とした「就職活動と入社後の実態に関する定量調査」によると、以下のような結果が出ています。


■働くを「楽しみたい」と「楽しんでいる」実態のギャップと成長の重要度と成長実感度のギャップ




■成長の重要度と成長実感度のGAP
学生 「成長の重要度」 86.2%
社会人「成長の実感度」64.6%
※ギャップ21.6ポイント


■働くを「楽しみたい」と「楽しんでいる」実態のGAP
学生 「働くを楽しみたい」 79.3%
社会人「働くを楽しんでいる」35.3%
※ギャップ44ポイント


■リアリティショックを受ける人の割合




なんらかのリアリティショックあり 76.6%
リアリティショックなし      23.4%


学生から社会人になるときには、多かれ少なかれ「こんなはずじゃなかった」と思う人は多いのではないでしょうか。リアリティショックを受ける人が76.6%ということは、入社した人の10人中約8人は受けているわけです。これは新入社員だけの課題ではなく、企業側の課題として対策を練っていく必要があります。


リアリティショックの4つの要因と対策


ここでも2019年に株式会社パーソル総合研究所が若手社員を対象とした「就職活動と入社後の実態に関する定量調査」の結果をみていきましょう。


■入社前のイメージと異なっていたこと




1.給料・報酬の高さ      37.4%
2.昇進・昇格のスピード    31.9%
3.仕事で与えられる裁量の程度 31.5%
4.仕事から得られる達成感   31.3%
5.働きやすさ(残業・休日など)30.5%
6.仕事のやりがい       30.0%
7.上司の能力         27.0%
8.職場の同僚との人間関係   22.9%
9.上司との人間関係      22.5%
10.同期の能力         20.3%
11.同期との人間関係      13.8%


入社前のイメージと異なっていたことは「報酬・昇進」「能力」「人間関係」「その他(仕事)」の4つあります。


1.報酬・昇進に関するギャップ


この調査は18歳~30歳未満の若手社員を対象におこなわれているので、報酬・昇進に関するギャップは、入社後勤続年数が経ってから起こると考えられます。


新入社員ではありませんが、今後「給料が思っていたより安い」「頑張っているのに昇給がない」など不満が出てくる可能性があることは肝に銘じておきましょう。


【対策】入社前と入社後の定期的なフォロー
採用の段階で、実際の状況に即した報酬の情報開示をするようにします。きっと採用担当者の方は正しく情報開示をしていると思います。しかしある会社では、採用担当者は「伝えた」、新入社員は「聞いていない」とくい違いが発生したことがありました。新入社員は聞いたけれど理解できていない場合や忘れていることもあります。報酬・昇進に関することは重要ですので、入社後も定期的にフォローしてギャップをなくしていきましょう。


2.能力に関するギャップ


能力のギャップは自分の能力と他者の能力に関するものがあります。「同じ仕事をしているのに、同期はできて自分はできない」「上司が口ばかりで全然仕事をしないので尊敬できない」などの悩みがでてくる場合もあります。


【対策】個に合った教育体制と社会人として見られている意識
まずはその人の能力に合った教育体制を整えることが大切です。また、誰かと比べて劣等感を感じてしまいそうな場面では、周りの人達のフォローが必要です。


右も左もわからない新入社員にとって、上司の影響はかなり大きいものです。「尊敬される上司になるように」と言うとハードルが高いので、社会人としてお手本となるような言動を心掛けギャップをなくしていきましょう。


3.人間関係に関するギャップ


新入社員は上下関係や顧客との人間関係など、今まで体験したことのない人間関係に出会うことになります。「年齢が離れている上司と上手く話せない」「顧客から厳しく注意された」など、職場や顧客と人間関係が築けずに不安やストレスが発生する場合もあります。


【対策】みんなで声をかける
「新入社員は会社全員で育てるもの」という意識づけが必要です。職場に早く馴染めるようにチーム全員で声かけをしていきましょう。また社外の人達とのコミュニケーションが円滑にいくように、上司や先輩が橋渡し役をすることも大切です。


4.その他、仕事に関するギャップ


まだ業務を一人でできない新入社員にとっては、仕事のやりがいや達成感を味わえる瞬間は少ないでしょう。裁量もなく上司から言われたことだけをしていると、自分の存在価値がわからなくなることもあります。また「イメージしていた仕事と違う」「残業時間が思っていたより多い」などのギャップが出てくることもあります。


【対策】新入社員に年の近いメンターをつける
新入社員は仕事が100%できていなくても、昨日より今日の方が成長していたらできた部分を認めたり、褒めたりしましょう。また小さな仕事でも「任せてみる」ことを増やしていけば存在価値が生まれてきます。イメージしていた働きやすさなどのギャップを埋めるには、新入社員が話やすい年の近いメンターをつけて様々な悩みをサポートする体制を整えることが大切です。

まとめ

新入社員の時にリアリティショックを経験したことのある方もいらっしゃるのではないでしょうか。入社後に悩む可能性があることを先回りして対策し、新入社員の早期離職を防いでいきましょう。




            

            

            

            

執筆者プロフィール

新人育成トレーナー
アイキャリア株式会社
太田 章代
企業・団体でのコミュニケーション研修、ビジネスマナー研修など、2,000回以上(2023年現在)登壇。 プロフィール詳細

新着記事

カテゴリー

  • はじめて新人研修の導入をお考えの担当者様へ
  • 研修会社の切り替えをお考えの方へ
  •               
  • 無料お役立ち資料
  • ビジネスマナー習得7ステップセミナー
  • はじめて新人研修の導入をお考えの担当者様へ
  • メールマガジン登録
  • YouTube「新人育成トレーナー太田章代のビジネスコミュニケーション術」
page up