指示が伝わらない人が実践したい『上手な指示出しのポイント』

2023年02月09日 2023年10月27日 新人育成担当者向け

太田章代
執筆者:新人育成トレーナー 太田章代
新入社員育成専門の研修トレーナー太田章代です。

新入社員に指示を出したとき、「わかりました」と言われたので安心していたのに、出来上がった仕事を見て「わかっていなかった」という事が発覚することがあります。

そんなときに「わかるように指示を出したのに何故?」「理解力が低くて困る」と、伝わらない理由を相手のせいにしていませんか。

しかし伝わらない理由は、伝える側の伝え方が悪いことがほとんどです。指示が伝わらないと仕事のやり直しが出てしまい生産性の低下につながります。業務を円滑に進めるためにも、相手に伝わる正しい指示の出し方を知っておきましょう。

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「伝えた」だけで「伝わっていない」

仕事では、相手に指示の内容が伝わり確実に仕事を完了してもらえるような伝え方が求められています。しかし職場では、自分の言いたいことを一方的に伝えて、その場を去ってしまう上司をお見受けします。

指示は「伝える」のではなく、「伝わる」ようにする。こんな事はわかっていると思いますが、案外できていない人が多いものです。まず、自分が指示した通りに動いてくれると思わない方がいいでしょう。特に新入社員は自分が思っている以上に伝えることが難しいものです。指示は自分本位で「伝える」のではなく、相手本位で「伝わる」ことを念頭に置いておきましょう。

「伝わる」上手な指示出しのポイント

それでは、相手に伝わる指示出しのポイントをみていきましょう。

1.仕事の目的と全体像から話す

新入社員に指示を出すときに忘れがちなのが、最初に仕事の目的や全体像を伝えるということです。どんなに優秀な社員でも、目的や全体像がわかっていなければ、ただ目の前の仕事を片付けているだけになってしまいます。

たとえば、「このリストの住所と企業名の入力をお願いします」と指示を出したとします。これでは新入社員は、何のための入力作業なのかわかりません。はじめに「今から請求書を発行するときに必要な内容を教えていきます」と言ってから細かい内容を伝えた方が理解しやすいのです。

また、目的や全体像を知ることで、広い視野で仕事を進めることができ、業務へのモチベーションアップが期待できます。仕事のクオリティ向上のためにも、はじめに目的と全体像を必ず伝えましょう。

2.重要なことは何度も繰り返し伝える

上司は自分が指示したことを新人が忘れた場合「それ言ったよね」と新人のせいにしていることがあります。たとえばそれが重要なことだったとしたら、大きなトラブルに発展する恐れがあるので怖いですね。

そんなときに心得ておきたいのが「人は1回では伝わらない」ということです。記憶力に個人差があるとはいえ、人はかなりの情報を忘れてしまいます。あなたは3日前の夕食で何を食べたか覚えていますか?私は思い出せません。仕事ではプライベートと比較にならないほど多くの情報が飛び交います。その中でも重要なことは、何度も何度も繰り返し伝えていくことが必要です。記憶にとどめてもらうために「もうクドイ!」と思われるくらい、伝えていきましょう。

3.数字を入れて具体的に伝える

新入社員と社歴10年の社員では、指示の出し方を変える必要があります。それは、みなさん理解していて知識や経験がない新入社員にはより具体的に伝えていると思います。しかし具体的に伝えているつもりが、具体的な指示になっていないことがあります。

たとえば、新人に「早急に資料を作成してください」とお願いしたとします。30分経って新人を見たら、まだ資料作成に取りかかっていません。そこで「早急にと言ったじゃないか」と注意したところ、新人は「今、取りかかっている仕事が終わったら、早急に作成します」と言いました。これは『早急』の捉え方が違ったため伝わらなかったケースです。「11時までに資料を作成してください」と数字で伝えていたら、このようなズレは起きませんでした。その他にも大きい、たくさん、ときどき等、人の捉え方が違うあいまいな言葉を使っていると相手とのズレが生じることがあります。指示を伝えるときには、数字を入れて具体的に伝えましょう。

4.指示をしたあと確認をする

あなたは新入社員に指示を出したら仕事は終わりだと思っていませんか。指示を出すことが目的ではありません。指示は、相手が正しく理解をして、仕事を完了させることを目的として出します。指示を伝えっぱなしにするのではなく、相手が理解できているか『確認』をするようにしましょう。確認する際には、「わかった?」と聞くと「わかりました」、「大丈夫?」と聞くと「大丈夫です」と返事があります。これでは確認したことにはなりません。指示したことを新入社員にまとめてもらい、それを伝えてもらうことで理解度を確認することができます。指示を出したら、1分確認をするだけで相手とのズレをなくすことができます。

5.質問はないか問いかける

どんな小さな疑問でも質問しやすくするために「何か質問はありませんか」「疑問があったら何でも聞いてください」と上司から質問を促すようにします。新入社員は「こんな事聞いてもいいのかな?」と質問しづらいことがあるため、何でも受け止めてあげるような雰囲気をつくることが大切です。指示のボリュームがある場合は、指示の途中で「ここまでで何か質問はありかすか」と、都度聞いてあげるようにすると相手の理解度が高まります。

まとめ

「伝わる」上手な指示出しのポイントをおさらいしていきましょう。

1.仕事の目的と全体像から話す 2.重要なことは何度も繰り返し伝える 3.数字を入れて具体的に伝える 4.指示をしたあと確認をする 5.質問はないか問いかける

新入社員を育成する上で、的確な指示出しは重要です。指示が伝わらないと、上司も部下も業務効率が下がってしまいます。仕事で効率的に成果をあげていくためにも、上手な指示の出し方を覚えておきたいですね。


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