ビジネスでは、相手を敬う気持ちを敬語で表します。尊敬語、謙譲語、丁寧語など学生時代に勉強したと思いますが、仕事ではなかなか勉強する機会もないと思います。職場の上司や先輩が使っている言葉遣いをそのまま真似したり、何となく感覚で敬語を使用していませんか。

私は企業研修講師として今まで1,600回以上の研修をしてきました。研修の中で敬語の使い方をお伝えしているので、普段コンビニエンスストアや美容院などを利用していても、店員さんの間違った言葉遣いが気になります。以前喫茶店で「こちらの方にお座りください」と言われました。「こちらにお掛けください」が正しいのですが、プライベートでしたので、店員さには注意をしませんでした。

敬語はビジネスの基本用語として、対話だけでなく、電話やメールでも使用します。社会人としてどこに出ても恥ずかしくない言葉遣いをマスターしたいものです。敬語をうまく使えると、取引先の人には「丁寧に仕事をしてくれそうだ」という印象を持ってもらえます。またビジネスマナーを学んでいる方だと、間違った敬語を使っている人に違和感を覚え、信頼という面では不利に働く場合もあります。ここでは、よくある敬語の間違いをご紹介します。自分が間違っていたら修正していきましょう。

間違いやすいビジネス敬語例

1.「ご意見、参考になりました」

「参考にする」は、そのアドバイスを自分の判断材料の一つにしますという意味です。参考程度にすると捉えられてしまうため、「勉強になりました」が適切です

2.「部長、ご苦労様です」

目上の人にたいしては「お疲れ様です」をつかいます

3.「本日納品の件、了解しました」

了解しましたは「理解してそれを認める」といったニュアンスが含まれるため、「承知いたしました」「かしこまりました」が適切です

4.「資料を配布させていただきます」

「させていただく」は相手に許可を受ける場合と、自分が恩恵を受ける場合につかう丁寧な表現です。資料を配布して恩恵を受けるわけではないため「資料を配布いたします」が適切です。「鈴木は本日お休みをいただいております」も間違いで「鈴木は本日お休みをとっております」が正しい言葉遣いです。例えば「この資料をコピーさせていただけますか」これは許可をもらいたいのでOKです。「させていただく」は謙遜する時の言い方ですが、不要な場面での使用は控えましょう。

5.「今の説明で、お分かりいただけましたか」

何となく「分かってます?」と言われているように感じてしまいます。「ご理解いただけましたか」が適切です

6.「お体をご自愛くださいませ」

「自愛」という言葉に「体を大事にする」という意味があるので「お体」は不要で「ご自愛くださいませ」のみが正しい言葉です。

7.「お名前を頂戴できますか」

「あなたの名前をもらう」という意味になってしまうので、「お名前を伺ってもよろしいですか」「お名前を教えていただけますか」が適切です。「お名刺を頂戴できますか」は間違いではありません。

8.「こちらが資料になります」

動詞「なる」は今までと違った状態になることです。資料が何かに変わるわけではないので「資料でございます」「資料です」が適切です。

9.「なるほどですね」

相手の発言に対して納得した時に使ってしまいがちですが、少し見下したニュアンスが含まれています。目上の方には「確かに、おっしゃる通りです。」をつかいましょう。「なるほどですね」は「マジで」「ヤバイッす」のような若者言葉ですので使わないようにしましょう。

10.「鈴木様でございますね」

電話などで相手のお名前を確認するときのフレーズです。「ございます」は「ある」の丁寧語です。相手は人で「いる」を表現する場合は、「鈴木様でいらっしゃいますね」が正しい言い方です。

敬語は日本独特の言葉遣いです。時代により多少の変化はありますが、相手を尊敬する気持ち、謙虚さを表している敬語を大切にしていきたいと思います。まずは上司・先輩が正しい言葉遣いをマスターして、部下・後輩に引き継いでください。また未来の社会人になる子どもたちにも、正しい敬語を啓蒙していきたいものです。

アイキャリア太田章代アイキャリア株式会社 代表取締役 太田章代
ビジネスコミュニケーション専門家、講演家

企業・団体でのコミュニケーション研修、ビジネスマナー研修など、1,600回以上登壇。個人の自立を目的として『コミュラボ』を立ち上げビジネスコミュニケーションを研究。コミュニケーション能力が最速で身につくように開発されたオリジナルメソッドで、職場の人間関係を改善するなど、好評を得ている。