「させていただく」使いすぎ注意!正しい使い方と例文
2023年06月01日 2023年10月27日 ビジネスマナー
ビジネスシーンでは会話やメールで使われている「~させていただく」という言葉。丁寧な印象になるため、ついつい使いたくなってしまいますが、使いすぎや誤用に違和感を覚えることもあります。
そう言っている私も、分かっていながら「~させていただきます」を多用していることがあるので気をつけています。
ここでは、文化庁の「敬語の指針」を参考に、「させていただく」の正しい使い方と例文をご紹介します。
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「させていただく」の意味
「させていただく」は「させてもらう」の謙譲語です。文化庁の「敬語の指針」によると、基本的には、自分側が行うことを ① 相手側又は第三者の許可を受けて行う場合 ② そのことで恩恵を受けるという事実や気持ちがある場合 に使われます。簡単にすると『①相手に許可が必要か』『②自分に恩恵はあるのか』の2つの条件をどの程度満たすかによって、使い方が適切な場合と、適切ではない場合があります。「させていただく」の多用に注意
謙譲語は自分をへりくだり相手を立てる言葉のため、丁寧で謙虚に聞こえます。そのためビジネスシーンでは使いやすい言葉です。しかし、「させていただく」と使いすぎると、「回りくどい」「媚びを売っている」など、悪い印象を与えてしまうことがあります。多用の例/ ■お客様から商品の在庫があるか確認の電話が入った場合 NG 「在庫を確認させていただき、折り返しお電話させていただきます」
一つの文中に「させていただきます」が2回使われ回りくどい印象です。また、在庫を確認することや、折り返し電話をすることは、お客様に許可を取る必要はないため、適切ではありません。「在庫を確認して、折り返しお電話差し上げます」が適切です。
「させていただく」の許容度が人により異なる
私は研修講師という仕事柄「させていただく」の使い方が気になりますが、知人に聞いたところ全く気にならない人もいます。「させていただく」の使用は、絶対間違いと言い切れない場合もあり、意味も通じるため、個人により「印象が悪い」「印象は悪くない」の受け止め方は様々です。つまり人により「させていただく」の許容範囲が異なるのです。しかし、「印象が悪い」と思う人がいる限り、適切な使い方を覚えておいた方が良いでしょう。「させていただく」の正しい使い方
それでは『①相手に許可が必要か』『②自分に恩恵はあるのか』の条件を満たした正しい使い方をみていきましょう。■相手が所有している書類をコピーしたい場合 「コピーを取らせていただけますか」
■有給休暇を申請する場合 「〇月〇日、休暇を取らせていただいてもよろしいですか」
■日程変更をしたい場合 「日程変更をさせていただきます」
「させていただく」の誤った使い方
こちらも、『①相手に許可が必要か』『②自分に恩恵はあるのか』2つの条件を照らし合わせてみていきましょう。「そこはへりくだらなくていいでしょう!」という場面でも、使っていることがあるので気をつけましょう。■お客様から商品の説明を求められた場合 「ご説明させていただきます」⇒「ご説明いたします」 相手が説明を求めている場合、説明の許可を得る必要はありません。
相手に商品を販売する目的で、説明をする許可を得る必要がある場合は「ご説明をさせていただいてもよろしいですか」と伝えるのが適切です。
■商品の値段が上がった場合 「値上げさせていただきました」⇒「値上げいたしました」 すでに値上げが決定している場合、相手に値上げの許可を得る必要がありません。
相手に値上げの許可を得たいときは「値上げさせていただいてもよろしいですか」と確認をします。
■自己紹介をする場合 「〇〇大学を卒業させていただきました」⇒「〇〇大学を卒業しました」 大学は相手に許可を得て卒業しているわけではありません。
「卒業するのが困難だったところを、大学の先生のサポートによって何とか卒業させていただきました」と使うのは適切です。
2重敬語になる使い方
丁寧に伝えようとしすぎて、2重敬語になっていることがあります。■書類を見せてもらう場合 「拝見させていただきます」⇒「拝見します」
「拝見」「させていただく」いづれも謙譲語なので、二重敬語です。
■お客様の会社へ行く場合 「伺わせていただく」⇒「伺います」
「伺う」「させていただく」いづれも謙譲語なので、二重敬語です。
まとめ
「させていただく」は、丁寧なニュアンスがあるため使いやすいですが、ビジネスでは正しい使い方をしたいものです。「させていただく」を意識して使うことで、回りくどい言い方ではなく、シンプルで伝わる言い回しができたらいいですね。執筆者プロフィール
- 新人育成トレーナー
アイキャリア株式会社太田 章代 - 企業・団体でのコミュニケーション研修、ビジネスマナー研修など、2,000回以上(2023年現在)登壇。 プロフィール詳細
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