言いづらい事を上手く伝える『クッション言葉』

2020年09月08日 2023年10月27日 ビジネスコミュニケーション

太田章代
執筆者:新人育成トレーナー 太田章代
日本一気さくで身近な研修講師を目指している、太田章代です。

仕事をしていると、相手に「断りづらい」「頼みにくい」ことがありませんか。そんなときに使えるのが『クッション言葉』です。

仕事では、言いづらい事もしっかり伝えないといけない場面があります。そんな時に、人間関係を悪くせずに伝えることができたら、ストレスも軽減されます。

これよりは、クッション言葉を使うシーンと効果を具体的にお伝えします。クッション言葉をマスターして、周りの人達との信頼関係を築いていきましょう。

クッション言葉とは

クッション言葉とは「恐れ入りますが」など、伝えづらいことの前に一言添えて、相手への気遣いを示す言葉です。仕事ではストレートに、「できません」「欠席します」と伝えると、人間関係が悪くなり今後の取引にも影響してきます。クッション言葉は、その名の通り相手が受ける負の衝撃をクッションのように、やわらげる役割をしてくれる言葉です。

クッション言葉を使わないとキツく感じる

私が先日、今持っているクレジットカードを、同じ会社の別のカードにするために、クレジットカード会社に電話をしました。そのときの会話です。
私「クレジットカードを切り替えしたいのですが」 相手「クレジットカードの切り替えはできません。今お持ちのクレジットカードを一旦解約して、新しいカードにお申込ください」
たったこれだけの会話ですが、何だか否定されたような気持ちになりました。この会話をクッション言葉を使って話してみます。
私「クレジットカードを切り替えしたいのですが」 相手「大変恐縮ですが、クレジットカードの切り替えという方法はとっておりません。お手数おかけしますが、今お持ちのクレジットカードを一旦解約して、新しいカードにお申込みをいただけますか」
いかがでしょうか。同じ事を言っていても、伝え方一つで相手が受ける印象は変わります。相手への敬意があっても、伝わらなければ敬意がないのと同じです。クッション言葉は相手への配慮を伝えるために、すぐに使える万能な言葉なのです。

クッション言葉を使うシーンと会話例

クッション言葉はたくさんあります。その場にあったクッション言葉を活用することで、クッション言葉の効果を発揮します。また、クッション言葉にプラスして、話の語尾を依頼表現「~していただけますか」にすると、より好感の持てる話し方ができます。

1.お願いするとき

・お手数おかけしますが ・恐れ入りますが ・可能であれば ・ご足労おかけしますが ・失礼ですが ・ご面倒おかけしますが ・恐縮ですが ・勝手を申し上げますが ・ご多用中とは存じますが

会話例/ 「恐れ入りますが、少々お待ちいただけますか」 「お手数おかけしますが、こちらにご記入いただけますか」 「勝手申し上げますが、本日のご都合はいかがでしょうか」

2.断るとき

・せっかくですが ・残念ではございますが ・申し訳ございませんが ・あいにくですが ・心苦しいのですが ・お気持ちはありがたいのですが ・誠に勝手ながら

会話例/ 「残念ではございますが、今回は欠席させていただきます」 「申し訳ございませんが、ただいま在庫を切らしております」 「あいにくですが、こちらの商品は販売が終了しております」

3.反論するとき

・申し上げにくいのですが ・おっしゃることは重々承知しておりますが ・お言葉を返すようですが ・失礼かとは存じますが

会話例/ 「申し上げにくいのですが、お客様のご要望には沿いかねます」 「おっしゃることは重々承知しておりますが、今回はこちらでお受けいただけませんか」 「失礼かとは存じますが、これはAではないでしょうか」

4.尋ねるとき

・差し支えなければ ・よろしければ ・失礼ですが

会話例/ 「差し支えなければ、ご連絡先を伺ってもよろしいですか」 「よろしければ、お探しのものをお聞かせいただけますか」 「失礼ですが、どのようなご用件でしょうか」

「申し訳ございません」は謝るときに使う

謝らなくてもいい場面で「申し訳ございません」を使っているケースがあります。例えば以下のようなケースがあります。

NG「申し訳ございませんが、どのようなご用件でしょうか」 ⇒「失礼ですが」が適切です

NG「申し訳ございませんが、ご説明させていただきます」 ⇒「よろしければ」が適切です

NG「申し訳ございませんが、少々お待ちいただけますか」 ⇒「恐れ入りますが」が適切です

「申し訳ございません」は、謝罪をするときに使う言葉ですので、意味を理解して使うようにしましょう。依頼する場面でも使えますが、へりくだり過ぎた言葉遣いは、悪い印象を与えかねません。

クッション言葉の乱用はやめよう

クッション言葉はいくら柔らかく伝わるからと言って、多用するとマニュアル人間のように感じられてしまいます。また同じクッション言葉ばかり使用すると、気持ちが込められていないように感じられてしまいます。

「恐れ入りますが、少々お待ちいただけますか」 「恐れ入りますが、こちらにご記入いただけますか」 「恐れ入りますが、ご検討いただけますか」

「恐れ入りますが」を3連発されると、クッション言葉ばかり耳に残りへりくだり過ぎていている印象になります。ビジネスメールのように文章でコミュニケーションを取るときも、同じクッション言葉の使い過ぎに気をつけましょう。

『クッション言葉』に『プラス一言』でワンランク上を目指す

クッション言葉で相手への配慮を伝えることにより、優しい印象になるのはご理解いただけたと思います。もうワンランク上を目指す人はクッション言葉の前に相手にあった言葉をプラスするだけで丁寧で「できる人」と思わせることができます。例えば

遠方からお越しいただき、お疲れのところお手数ですが、こちらにご記入いただけますか」 「早期にご提出いただいたのに誠に恐縮ですが、受付は明日からでございます」 「お急ぎのところご不便おかけして申し訳ございませんが、修理完了まであと1時間かかりそうです」

いかがですか。一番上の言葉は、私が出張のときにホテルのチェックインで言われ、『この人は私の気持ちを分かってくれている』と感じ、好印象でした。ありきたりな言葉よりも、相手の気持ちを理解して、相手に合わせたプラス一言のクッション言葉がファンをつくります。

クッション言葉を今からすぐに使おう

社会人として、周りの人との人間関係を円滑にすることは重要な課題です。その上でもクッション言葉は、相手への気遣いを伝える上で必須です。仕事で周りの人から信頼を得るためにも、クッション言葉を使ってみてはいかがでしょうか。

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