『ピグマリオン効果』仕事での人材育成活用法

2021年07月22日 2023年10月27日 ビジネスコミュニケーション

太田章代
執筆者:新人育成トレーナー 太田章代
日本一気さくで身近な研修講師を目指している太田章代です。

人材育成研修でよく使われている『ピグマリオン効果』というのをご存じですか。

心理学の用語で、仕事では上司が部下を育成する際に効果があるとされています。しかし、ピグマリオン効果は上手く活用しないと相手の負担になることもあります。

これよりは、『ピグマリオン効果』を活用して、仕事で部下のやる気を引き出す方法をご紹介します。

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動画でも学べます。聞き流すだけでも理解できますよ!

1.『ピグマリオン効果』とは

ピグマリオン効果とは、他者から期待を受けることで、その期待に応えようとして成果を出すことができる効果のことです。

ピグマリオン効果を発見した実験は、アメリカの心理学者ローゼンタール氏が、幼稚園児と小学生を対象に実施したものです。実験の結果、教師から期待された生徒の方が、期待されなかった生徒よりも学習成績が上がる傾向にあると発表しました。

2.反対の『ゴーレム効果』とは

ピグマリオン効果は、「あなたはできる!」と期待をすると相手が成長するという良い効果を示すものです。その反対でゴーレム効果は「あなたは仕事ができない」と悪い印象を持って接すると、相手が悪い成果へ向かう現象を示します。

3.仕事でのピグマリオン効果

仕事では、上司が部下に期待をすることで、部下の成果が向上する効果が見込めます。人は他者から「認められたい」という欲求があります。上司から期待されるとやる気が出て成果を出しやすくなります。ピグマリオン効果を知らなくても、無意識に活用している人も多いのではないでしょうか。

上司のメリット

部下に期待をすることにより、部下の良いところに目がいくようになります。「私の部下は良いところが一つもありません」と言っていた上司がいましたが、それは悪いところしか見ていない上司の問題です。部下の良いところを見て認めたり、褒めたりできるようになると、部下との信頼関係もできてきます。

部下のメリット

上司からの期待に応えようとして、主体的に行動をするようになります。成果を出すために何をすべきか考えたり、相談をしたりして行動が変わります。部下自身の能力向上の良い機会にもなります。

4.ピグマリオン効果が出にくい場合

1.「あなたは必ず目標達成できる」と期待をかけるが、自分の立場のためなど、上司の利益が見え隠れする場合
部下は日頃の上司の行動や発言をよく見ています。目標達成だけのために急に期待したり、やたらめったら褒めると「結局自分のためでしょ」と感じてしまい逆効果です。
2.期待をかけたが期待通りにならずにイライラが出ている場合
人材育成には時間がかかります。期待したからと言って、すぐに結果が出るわけではありませんので、部下を信じて見守る姿勢が必要です。「期待して損した」というような態度が見受けられると、部下は余計にやる気を失くします。
3.「期待している」と言いながら行動を細かく管理している場合
部下に仕事を任せて主体的に行動することも含めて「期待している」です。細かいところまで部下に指示を出し、管理して成果を出そうとしたところで、部下は押しつけられているようで動きたくなくなります。

5.無理やり期待を押しつけない

研修をしていると、上司から期待されて嬉しい人もいれば、負担になる人もいることが分かります。期待が負担になる人は、期待されることを望んでいません。部下の性格をよく観察して、期待を無理やり押しつけることがないようにしていきましょう。相手に合った期待の言葉、期待量を見極めて活用します。

期待が負担になる部下には、「〇〇さんは、いつも資料の作成が速いから助かるよ」など、相手を認める言葉をかけてやる気を引き出していきます。

6.まとめ

太田章代
『ピグマリオン効果』を上手に活用することで、部下の能力を向上させ成果を出すことができます。成果を出すことも大事ですが、部下に期待をすることで部下との人間関係も良くなるという事が魅力です。反対に、部下のことを「あいつは使えない」と思っていると、部下が成果も出せず、人間関係も悪くなります。気持ちは伝わるので、部下を育成している方はお気をつけください。

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