トラブルのもと『あいまいな言葉』|言った事が伝わらない問題を解決

2020年11月20日 2023年10月27日 ビジネスコミュニケーション

太田章代
執筆者:新人育成トレーナー 太田章代
日本一気さくで身近な研修講師を目指している、太田章代です。

自分の言ったことが相手に伝わらないと感じたことはありませんか。その原因の一つに『あいまいな言葉』を使用しているケースがあります。

私が研修講師として、リーダー研修でよくお伝えするのが「あいまいな言葉を使わない」という事です。それは、上司が指示したことが、部下に正しく伝わらず、問題になることがあるからです。

そこで今回は、自分の言ったことが相手にしっかり伝わる方法をご紹介します。

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動画でも学べます。聞き流すだけでも理解できますよ!

『あいまいな言葉』はトラブルを招く

上司が、あいまいな言葉を使ったため、部下に意図が伝わらなかったケースをご紹介します。
上司 「今度の懇親会用に領収書の予備を多めに用意しておいて」 部下 「承知いたしました」

~懇親会当日~ 部下 「領収書の予備を3枚用意してあります」 上司 「多めに用意しておいてって言ったよね...」  不穏な空気が漂う.....

上司の「多め」は、10枚くらいのイメージで、部下の「多め」は3枚くらいのイメージでした。「多め」という言葉の解釈が違い、トラブルになっています。

上司が指示を出したが部下に伝わらず、仕事をもう一度やり直さなければならない事もあり、無駄な時間が発生します。このような自分と相手の解釈のズレが生じるケースは、多々あるのではないでしょうか。

『あいまいな言葉』を具体的な『数字』にする

それでは、あいまいな言葉を数字に変えてみましょう。
×「企画書の作成をなるべく早くお願いできますか」 〇「企画書の作成を10月27日(金)18時までにお願いできますか」

×「到着が少し遅れます」 〇「到着が10分程遅れます」

×「昨日はかなりの人が来場されて、長い行列ができていました」 〇「昨日は300名の来場があり、入場まで1時間待ちの行列ができていました」

あいまいな言葉は他にも、大きい、小さい、安い、高い、広い、狭い、すごい、たくさん、すぐに、まあまあ、しばらく、ときどき、非常に、数日後、しっかり、ちゃんと、できる範囲で等あります。あいまいな言葉を無意識で使っている人は、知らないうちに相手を困らせているかもしれません。

私も独立した頃、お客様に「後日見積書をメールいたします」と言って3日後に送ったところ「遅い」とお叱りを受けたことがあります。お客様にとって「後日」は翌日だったのでしょう。幸いそのお客様は今でもお付き合いがありますが、「あいまいな言葉」を使ったばかりにお客様を失くしてしまう事もあるので、十分注意しましょう。

『言葉+視覚』は相手の理解度を高める

仕事の依頼において、お客様とトラブルになったケースをご紹介します。
営業「今回のチラシはさわやかなイメージにしましょうか」 お客様「春だし、さわやかなイメージいいですね」

~チラシが出来上がる~ 営業「さわやかなイメージで作成しましたがいかがでしょうか」 お客様「これは、さわやかなイメージではないですよね...」 不穏な空気が漂う.....

営業とお客様の「さわやか」のイメージにズレがあったようです。お客様にとっては納得できるチラシではありませんでしたが、修正する時間がほとんどなく、納得できないまま完成になりました。その後、お客様との関係性が悪くなり、仕事の依頼が無くなったというトラブルでした。

これを解決する方法は『言葉+視覚』で伝えることです。

伝えるときには、言葉だけではなくイメージの湧く図、写真、動画など、目で見る情報もプラスされると、相手に理解してもらいやすくなります。例えば以下のようなケースがあります。

×「この棚の書類をキレイな状態にしてください」 〇言葉+キレイな状態の棚を見てもらう

×「開店祝いに素敵なお花を手配していただけますか」 〇言葉+素敵なお花のイメージ写真を見せる

×「古い家を探しています」 〇言葉+古い家のイメージ写真を見せる

他にも可愛い、美しい、深い、新しい、明るい、面白い等、形容詞はあいまいで相手に伝わらないクセ者です。仕事を依頼するときは、相手とイメージをすり合わせして依頼をすることをおすすめします。

上司は「言ったのに・・・」、部下は「言われた通りにしたのに・・・」と人間関係がギクシャクすることもありますので注意しましょう。

まとめ

相手に伝わるように話すには ・具体的な数字を入れて伝える ・言葉+視覚で伝える

あいまいな言葉は仕事に支障をきたします。自分の頭の中にある事を、相手に100%全部伝えるのは難しいことです。はじめから『自分の言ったことは伝わらない』と思って、相手の立場に立ち、言葉を選ぶ意識がズレを少なくします。

仕事で『あいまいな言葉』は、弊害を生むばかりで良いことは一つもありません。仕事の生産性を上げるため、相手から信頼を得るためにも使わないように心がけましょう。

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