新入社員に最初に教えたい「会社とは」【教育担当者向け】

2023年10月07日 2023年10月27日 新人育成担当者向け

太田章代
執筆者:新人育成トレーナー 太田章代
新入社員育成専門の研修トレーナー太田章代です。

新入社員を迎え入れるにあたり、会社として教育体制を整えることは、新入社員を育成する上で重要です。

「会社の規則」「業務知識」「ビジネスマナー」など色々な研修や教育を考えていることと思いますが、新入社員に最初に教えておきたいことは「会社とは」についてです。

スタート段階で新入社員に社会人としての一般常識を身につけてもらい、成長を加速させていきましょう。

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新入社員教育で困っている原因

新入社員の教育担当者の研修に登壇すると、教育課程で問題になっていることが多々出てきます。具体的に問題になっていることは次のようなことが挙げられます。

□自ら動こうとしない □不平不満が多い □成長意欲がない □報連相をしない □落ち込みやすい □苦手な仕事は避ける □他責にする傾向がある

これらは全て、社会人としての一般常識の欠如からきている問題かもしれません。教育担当者からしたら、組織で働くために必要なことを当り前にしているため、新入社員に伝え忘れてしまうこともあります。新入社員に社会人としての土台となる、会社の仕組みを理解してもらい、社会人として身勝手な行動を減らすよう、「会社とはどんなとこなのか」を教育していくことが重要です。

会社とは

ここでは株式会社のお話をします。会社とは、「利益を得ることを目的とする組織」のことです。たとえば、洋服を販売している会社で考えてみましょう。3,000円で仕入れた洋服を3,500円で売ったら利益が出るため、企業目的を果たしています。しかし、2,500円で売ったら利益は出ないため、企業目的を果たしているとは言えません。

従業員は会社が利益を出すために採用されています。新入社員においては、はじめは直接利益に貢献することは難しいですが、一日も早く自立して会社に貢献する意識を持ち成長することが求められています。

なぜ利益が必要なのか

社会人になったばかりの新入社員からすれば、会社に利益が出ようが出まいが、給料が貰えればどちらでもいいと思っている事が多いでしょう。それは、新入社員のうちは仕方のないことかもしれませんが、今後は社会人として利益を意識して仕事をしていく必要があるため、早期から意識づけをしていきましょう。

しかし「利益の追求」に偏り過ぎると、儲けに走っているような悪いイメージになり、利益に対して嫌悪感を持ってしまうことがあります。あくまでも利益は会社が目的を達成するための手段です。そこで、なぜ利益を上げる必要があるのか、目的を明確にして伝えていきましょう。

・企業の存続ができる

雇用が守られ、従業員の安定した生活が維持される

・社会貢献ができる

利益が出た分は、税金という形で社会に還元される。税金は国のインフラ整備などに使われ、生活を豊かにします

・より良い物やサービスの提供ができる

お客様により喜ばれる物やサービスを提供するための投資ができる

利益を上げることは悪いことではない

会社が利益を出すことは、悪いことをしているように感じている新入社員もいます。「そんなに利益が上がっているなら、お客様への販売価格を安くした方がいいのではないか」という声を聞いたことがあります。

もちろん、不当に高い料金を請求して利益を出すことはよくありませんが、消費者もしっかり見ています。提供する物やサービスに対して料金が見合ってない場合は、売れない可能性が高いものです。ですから、会社は利益を考えながらお客様に購入してもらえるように、また競合他社との料金も考慮して正当な料金設定をしています。利益が出るということは、お客様の役に立つ物やサービスを提供できている証だと思ってください。

会社は変化があるもの

新入社員から「部署異動があるなんて聞いていなかった」「仕事のやり方が急に変わった」というような、変化に伴う不平不満が出てくることがあります。不平不満が出るだろうと予測して、入社したときから「会社は変化があるもの」という事を何度も伝えていきたいところです。

会社は世の中の変化や会社の状況により変わり続けるものです。時代の流れが早い昨今においては、変化をしていかなければ衰退していく可能性が高いのです。新入社員は覚えることが沢山あり変化に対応していくことは大変だと思いますが、社会人は変化に対する柔軟性が求められます。変化は会社をより良くするためのことですので、受け入れて活動していきましょう。

会社は新入社員に先行投資している

入社したばかりの新入社員はまだ1人では何もできないため、なかなか利益に貢献することができないのが実情です。しかし、上司・先輩もみんな同じ道を通ってきているので、そこは臆することはありません。会社は労働者に給料を支払う義務があるため、貢献できていなくても給料は支払われます。

ただ「働いているから給料をもらうのは当り前」「会社にいれば給料が貰える」と思われてしまうと、主体的に行動しない新入社員になってしまいます。新入社員の給料は、未来の会社を創るための先行投資です。それがしっかり理解できていれば、研修で眠そうにしている人も居なくなるのではと思っています。

新入社員が会社に貢献できること

利益の出し方を簡単な式にすると、売上-経費(人件費、光熱費、材料費など)=利益となります。会社がより利益を出すためには、「売上増加」と「経費削減」が必須です。

新入社員に「より利益を上げるためにはどうしたらいいと思う?」と聞いてみると、「売上を増加させる」という答えは出てきますが、「経費削減」は思いつかないようですので教えてあげてくさい。ここでは新入社員が直接ではありませんが、利益貢献ができることがあるのであげていきます。

・1日も早く自立できるよう成長する

新入社員が成長することで、上司や先輩の仕事の負担が軽くなり、別の仕事ができるようになり売上増加につながる事がある

・元気に挨拶をする

職場の雰囲気を明るくしたり、お客様から好印象を持たれることで、売上増加につながる事がある

・報告、連絡、相談をする

報連相をしっかりすることで、業務が円滑に進み生産性が高まるため人件費の削減につながる

他にも沢山あります。新入社員に「会社に貢献できることは?」と質問して、出してもらうと、気づきがあり行動変容するきっかけにもなります。

まとめ

新入社員教育は初めが肝心です。会社とはどんな場所なのかを理解できれば、仕事に対する姿勢やマインドも変わってきます。教育担当者から見ると甘えのように感じることもあると思いますが、教育することで改善できますので、根気よく伝えていきましょう。


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