新入社員を育成する「OJT」とは

2022年11月24日 2023年10月27日 新人育成担当者向け

太田章代
執筆者:新人育成トレーナー 太田章代
日本一気さくで身近な研修講師を目指している、太田章代です。

あなたの会社では、新入社員など人材を育成する上で「OJT」を取り入れていますか。新入社員が入社しても、その場の成り行きで無計画に育成している企業も多いのではないでしょうか。

そこで今回は、新入社員が短期間で成長し、人を育てる風土が定着する効果も期待できるOJTについて、詳しくご説明します。

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動画でも学べます。聞き流すだけでも理解できますよ!

1.OJTとは

OJTとはOn the Job Trainingを略したもので、部下や後輩に対し職場で実践をしながら業務に必要な知識やスキルを指導する人材育成手法のことです。

2. 人材育成の課題もOJTで解決

では、企業で人材育成の課題となっていることを3つあげます。

①後回しにされがち

企業にとって人材育成が重要だということは理解できていても、育成する側の仕事が忙しく、後回しにされがちです。

②人材育成の仕方がわからない

人材育成の担当者として部下をつけられたとしても、どのように接したらいいのか、何をしたらいいのかわからないという課題があります。

③人材育成してもなかなか育たない

試行錯誤して人材育成をしても、組織や自分が思ったように育たないという課題があります。

以上の3つの課題を解決するためにも、OJTの取り組みは有効です。

3.OJTのメリット

OJTは指導を受ける側の新入社員、指導をする側のOJTトレーナー両者にメリットがあります。

■新入社員側のメリット

OJTの育成手段を採用する理由としてまず挙げられるのが、「実務能力を付けさせるうえで優れている」という点です。実務能力がつくことで、新人の仕事への意欲を高めることができ、自信にもつながります。新人を短期間で育てるうえで効果的に作用します。

■OJTトレーナーのメリット

新人の指導役となるトレーナーは、新人に業務を教えることにより自身の能力向上が図れます。「教育」ではなく「共育」で、新人と共に成長することができます。

4.OJTは「準備」「継続」「計算」

通常の仕事と同様に、新入社員育成においてもできるだけ「短期間」に成果を出すことが求められます。そのためには3つのポイントがあります。

①準備

OJT育成計画を立て「準備」を整えたうえでOJTを進めることが欠かせません。新入社員を受け入れる環境を整えましょう。

②継続

成果を出すためには、OJT育成計画を「継続」していくことが必須です。

③計算

OJTトレーナーだけで新入社員育成を行うのではなく、職場全体で取り組む「計算」された働きかけが求められます。

5.Off-JTも計画に盛り込む

ここまで知識・理論を実務の中で身につける「OJT」についてお話をしてきましたが、もう一つ「Off-JT」があります。OFF-JTはOff The Job Trainingの略で、実務の場を離れ、研修などで知識や理論を学び成長を促す手法です。

近年の新入社員は、理屈理論をしっかり理解しないと、積極的に動けないという傾向があります。OJTとOff-JTを組み合わせた教育指導が求められます。

6.OJT運用の仕方

それでは、OJTを進めるにあたり、何をすればいいのか具体的な内容をみていきましょう。

①OJT育成計画を立てる

OJTを進めるにあたり、新入社員に対し「いつまでに、何を、どうやって」教えるかを考えたうえで育成計画を立てます。場当たり的な育成を避けるために、計画をしっかり立てることは重要です。

OJTトレーナーは、全ての指導を自分1人で行わなければならないわけではありません。自分では教えられないことや、自分以外にも教えられる人がいる場合には、適任者に指導を依頼します。OJTトレーナーは、OJTをプロデュースする立場にあります。周囲と協調しながら職場全体で指導を遂行していくことがOJTトレーナーの役割です。

OJT計画書例

「電話応対ができるようになる」という大きな目標ではなく、電話応対を細分化して目標を設定し、指導を行う適任者を割り振ります。OJTトレーナーは育成計画を継続させるために管理をしていきましょう。

②育成計画を管理する

OJTトレーナーは、OJT育成計画書の通りに育成が進んでいるのか、常に状況確認をしていきます。計画倒れにならないように、期限までに出来なかったことは再度期限を設定するなど、実行する中でOJT育成計画を修正してきます。新人育成に関わる人達で毎月1回ミーティングを行うなど、育成計画が上手く進んでいくように仕組みづくりをしましょう。

③社員全員で新入社員育成に取り組む

育成計画を立てたら、職場の全員に情報を共有します。担当がない人も、職場でOJTをする機会はあります。新入社員は社員全員で育成するという意識をつけていくことが大切です。特に管理職やリーダーなど上層部は、自分とは違う部署の新入社員の育成にも意識を向け、社内全体で新人育成をする体制をつくると、OJT育成計画書が効果的に運用されていきます。

④OJT育成計画を見直す

新入社員のOJT育成計画は、次年度入社する新入社員のために、育成計画を見直す時間をつくりましょう。見直しもOJTトレーナーが一人で行うのではなく、管理職をはじめ周りの社員を巻き込んでみんなで考えるようにしましょう。

7.まとめ

OJTを取り入れていない企業の方は、まず人材育成に役に立つOJT育成計画を作成してみてはいかがでしょうか。新入社員を育成することは、今後の企業の発展にも関わっている重要な課題です。最初は大変かもしれませんが、新入社員を短期間で成長させるために、OJT育成手法は有効です。


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