部下が不幸になる『叱れない上司』から脱却するたった一つの方法
2020年08月28日 2023年10月27日 新人育成担当者向け
最近は部下を叱れない上司が増えており、危機感を覚えています。確かに部下の至らない点を指摘するのは難しいものです。しかし、叱れない上司は、管理職としての役目である『部下の育成を放棄している』と言われてもおかしくありません。
私は企業で研修講師をしておりますが、先日「上司が叱れないから代わりに厳しく叱って欲しい」というご依頼がありました。私が厳しく叱ることはできますが、上司が責任を持って継続指導しなければ、本当の解決にはなりません。
これよりは、部下を叱って成長につなげる方法について詳しくご紹介します。
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動画でも学べます。聞き流すだけでも理解できますよ!
「叱る」定義
ここでは「叱る」を、『部下の改善点を指摘して、部下の成長につなげる』と定義します。感情的に怒ったり、部下を「どうして」「なんで」と責める事ではありません。感情的に叱ると、部下を委縮させ上司の顔色を見て仕事をするようになり、結果的に部下は成長しません。自分が腹が立つから指摘するのは「叱る」ではありません。部下を叱れない理由
叱るのは上司の心理的負担にもなります。研修で「部下を叱る事が苦手な人」と受講者に伺うと、8割の方が手をあげます。理由は下記のような事があげられます。・部下から嫌われたくない ・パワハラにならないか不安 ・正しい叱り方がわからない ・叱る基準が明確になっていない ・管理職の役割を分かっていない ・部下に無関心
上司が部下を叱らないデメリット
部下を叱らなければならない場面で、見て見ぬふりをしていると、部下は自分の改善点に気づくことができません。上司が部下を叱らないとこんなデメリットがあります。・部下の成長の機会を奪うことになる ・部下の成長する速度が遅くなる ・部下は正しい行動がわからなくなる
→ 叱らなかった結果、部下が不幸になり、企業の成長率にも影響します。私はここに危機感を覚えています。
良い上司は『何も言わない優しい上司』だと思っているのは大きな勘違いです。例えるなら、『赤信号を渡っている人に、注意をしない』状態です。良い上司は、部下を叱り成長させてくれる上司なのです。
叱る目的を明確化する
何度もお伝えしますが、叱る目的は『部下の改善点を指摘して、部下の成長につなげる』ことです。上司が部下の指導に手を抜けば、それがそのまま伝わります。上司が気合を入れて指導をすれば、部下も熱心に仕事をするようになります。部下は怠けているつもりはなくても、手抜き、妥協、逃げはしっかり指導しないと、部下は楽な方へと進んでしまいます。その結果、自分で成果を出すことができない人になってしまいます。部下が仕事で成果を出せるように、改善点をしっかりと叱るのが優しさです。
最近の若い世代は、学校の先生や親に叱られずに育っている人が多いものです。ですから、新人が入社してきたらはじめが肝心です。上司から叱られずに育つと、その後、少し指導しただけでも「パワハラだ」「厳しすぎる」など、指導した人を責めてしまう事もあります。また、叱られたことでモチベーションが下がり、仕事への意欲を喪失してしまう事もあります。
部下のモチベーションを下げない叱り方
例えば部下が、お客様と友達みたいな話し方で電話をしていたとします。上司がそれを指摘しなければ、部下は悪気なく友達のように話し続け、お客様からの信頼を失くしてしまうかもしれません。叱り方の悪い例と良い例をあげてみます。【ポイント】 部下の行動を否定している言い方になっている。また何故ダメなのか理由がない。
【ポイント】私を主語にした伝え方(Iメッセージ)をしている。また、叱った理由を伝えている。
いかがでしょうか。同じ事を伝えているのに、伝え方で相手の受け取り方が変わります。叱るときは、相手が受け取る事のできる伝え方を考えて、言葉にする事をおすすめします。
また「叱る」はタイミングも重要です。基本的には、叱るべき行動が起こったその場で叱ります。叱る内容により、周りに聞こえないように別室で叱る配慮も必要です。
叱っても人間関係が悪くならないために
叱れる上司になるためには、部下との信頼関係を築くことが重要です。部下が『この人の言うことなら素直に受け止めよう』と思えるような信頼関係を築いておけば、叱った後に人間関係がギクシャクすることもありません。叱りやすい環境をつくるためには、まず部下を『認める』ことが重要です。部下を認めているからこそ叱ることができます。認めるとは、部下の存在そのものを認めるという事です。部下の受け入れ態勢が整っているからこそ『叱る』が有効に働きます。良いところは『認め』、改善点は『叱る』。これを一貫して行うことで、部下との信頼関係が築かれていきます。
叱れる上司になるために今日からはじめること
叱れる上司になるために最も重要なのは、部下との関係性を良くすることです。ただ関係性を良くしましょうと言われても、何をしたらいいのか迷いますよね。以下のシンプルで効果の高いこちらの行動をしてみてください。
部下に1日1回声かけをする
これは、業務上の報告・連絡・相談以外で『部下を気にして声かけ』をすることです。【声かけ例1】 「おはようございます。〇〇君、今日は山田商事さんを訪問するんだったよね。自信を持ってクロージングしてきてくださいね」
【声かけ例2】昼休憩に「お疲れ様。仕事は順調に進んでいますか」
など、簡単な一言で良いので相手を気にかける声かけを、一日一回してみてください。毎日行うことで、徐々に関係性を良好にしていきましょう。
まとめ
厳しい事を申しますが、部下を叱ることができない上司は、管理職の資格はありません。管理職として、部下を叱ることは重要な役割です。『叱る』の目的である部下の成長のために、愛を持って部下を叱ってください。執筆者プロフィール
- 新人育成トレーナー
アイキャリア株式会社太田 章代 - 企業・団体でのコミュニケーション研修、ビジネスマナー研修など、2,000回以上(2023年現在)登壇。 プロフィール詳細
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