ビジネスメールで「宜しくお願い致します」の表記は間違い?【ビジネスマナー】

2023年07月20日 2024年03月29日 ビジネスマナー

太田章代
執筆者:新人育成トレーナー 太田章代
新入社員育成専門の研修トレーナー太田章代です。

ビジネスメールでは「宜しくお願い致します」で締めることが多いですね。

パソコンで打つと漢字変換されるため、何の疑いもなく漢字表記をしている方もいらっしゃるのではないでしょうか。実は「宜しくお願い致します」の漢字表記は間違いではないかと言われています。

ここではビジネスメールに適した「よろしくお願いいたします」の表記について解説いたします。

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「よろしくお願いいたします」の意味

「よろしくお願いいたします」は、「よろしく」「お願い」「いたします」の3つが組み合わさった敬語表現です。職場の人や取引先の人に対して何かを頼みたいときなどに添える言葉で、「こうあって欲しいと希望すること」という意味があります。

「宜しくお願い致します」「よろしくお願いいたします」どちらが正しい?

結論からお伝えすると、ビジネスメールでは「よろしくお願いいたします」のひらがな表記が適しています。ビジネスメールでは、漢字を使って硬い文章した方がいいと思い、あえて「宜しくお願い致します」と表記していませんか。私に届いたメールを確認したところ、10件に1件は漢字表記になっていました。

口語では同じ音なので、どちらを使ってもいいように思われがちですが、ビジネスメールやビジネス文書などで用いる文語では、間違いのないように「よろしくお願いいたします」とひらがな表記をしましょう。

「宜しく」「よろしく」の違い

それでは、なぜ「よろしくお願いいたします」のひらがな表記が正しいのか、詳しく見ていきましょう。

まずは、「宜しく」と「よろしく」の表記について解説します。「宜しく」は常用漢字表にない表記なのです。(常用漢字表とは、法令、新聞、雑誌など公的な場での漢字使用の目安を示す一覧表のこと)

常用漢字表では、「宜」の読み方は音読みの「ギ」だけで訓読みはありません。(音読みは「発音を聞いても意味がわかりにくい言葉」、訓読みは「発音を聞くと意味がわかる言葉」)

よって「宜しく」は間違いではありませんが、ビジネスメールでは、「よろしく」のひらがな表記が適切です。

「致します」「いたします」の違い

「致します」「いたします」どちらでも良さそうですが、使い方が違うため詳しく見ていきましょう。

「致します」は「する」の謙譲語です。また、「至らせる、結果をもたらす」等の意味を持つ言葉で、自分側の行動を表す際に使う動詞としても使われます。

続いて、ひらがなの「いたします」を見ていきましょう。「いたします」は「する」の謙譲語です。「お願いいたします」のように、前に動詞をつけて使う補助動詞です。公用文における漢字使用等についてでは、動詞のあとの補助動詞は、ひらがな表記にする決まりがあります。よって「よろしくお願いいたします」とひらがなで表記するのが適切です。

■「致します」の使用例文

「電話応対は私が致します」 「不徳の致すところでございます」

 

■「いたします」の使用例文

「確認いたします」 「失礼いたします」

 

「よろしくお願いいたします」の正しい使い方

では「よろしくお願いいたします」をどのように使用すれば良いのか、例文を見ていきましょう。

「ご検討のほど、よろしくお願いいたします」 「引き続き、よろしくお願いいたします」 「今後とも、よろしくお願いいたします」

「よろしくお願いいたします」の丁寧な表現

ビジネスメールでは「よろしくお願いいたします」よりも丁寧な表現として、「言う」の謙譲語「申し上げる」を使い「よろしくお願い申し上げます」と書くことがあります。

ビジネスメールは、文字だけで相手とコミュニケーションを取ります。文字だけで相手に敬意や配慮が伝わる表現として、「申し上げます」の使用をお勧めします。私は全てのビジネスメールに「よろしくお願い申し上げます」を使っています。では、例文を見ていきましょう。

「何卒よろしくお願い申し上げます」 「ご確認のほど、よろしくお願い申し上げます」 「ご理解賜りますよう、よろしくお願い申し上げます」

まとめ

「宜しくお願い致します」と漢字で表記してあることもありますが、ビジネスメールでは「よろしくお願いいたします」または「よろしくお願い申し上げます」と正しく表記するようにしましょう。

頻繁に使用する言葉だからこそ、正しい知識で文章を作成したいですね。


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