パワハラにならない叱り方5つのルール|部下の成長を促す叱り方の具体的なフレーズ

人材育成トレーナー太田章代です。

「パワハラが怖くて部下を叱れない」「部下が辞めたら困るから叱れない」という声を以前から聞いていましたが、最近益々多くなっているように感じます。(私のYouTubeのコメントにも同じ悩みが書き込まれます)

部下を適切に叱れないことで組織の成長が阻害されたり、チームの規律が乱れたりすることもあります。では、どのようにすればパワハラを避けつつ、部下を適切に叱れるのでしょうか。

ここでは、部下の成長を促し信頼関係を築くための叱り方のルールと具体的なフレーズをご紹介します。


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動画でも学べます。聞き流すだけでも理解できますよ!

1. 「叱る」と「パワハラ」の違いを理解する

まずは「叱る」と「パワハラ」の違いについてご紹介します。「叱る=パワハラ」ではありませんので違いを理解しましょう。

パワーハラスメントとは
パワハラ(パワーハラスメントの略)は、権限を利用して相手に対し、不適切な言動を行うことを指します。たとえば、以下のような行為が該当します。

・人格を否定する発言(例/お前は本当にダメなやつだ 等)
・必要以上に長時間にわたり叱責する
・他の社員の前で執拗に叱る
・業務上必要のない無理な指示をする 等

叱るとは
部下の成長を促すために適切な指導を行うことです。目的は「部下の成長」にあり、個人攻撃ではありません。

2. 「叱る」ことを避けるデメリット

部下を叱ることを恐れ、必要な指導を行わないことにはいくつかのデメリットがあります。

・組織の規律が乱れる
例/服装の規定があるのに注意をしなかったため、職場全体の秩序が乱れた。


・部下の成長機会を奪う

例/部下がお客様に馴れ馴れしい話し方をしていたのに指摘しなかったため、部下は改善の機会を得られなかった。


・上司自身の評価が下がる

例/上司の重要な役目である部下の指導ができないとみなされ、評価が下がった。


・チームの士気が下がる

例/一部の社員のミスが見逃され、同じミスをして指導された社員のモチベーションが低下した。


つまり、適切に叱ることは、チーム全体の成長のために必要不可欠な行為なのです。


3. 部下の叱り方5つのルール

では、どのようにすれば適切に部下を叱ることができるのでしょうか。以下のポイントを意識することで、パワハラを避けつつ効果的な指導が可能になります。

事実に基づいて叱る
感情的にならず、具体的な事実に基づいて指摘することが重要です。

NG例 「会議で人が話しているのに、スマホをみているなんて態度が悪い!」

OK例 「先ほどの会議で○○さんが話しているのに、スマホを見ていたね。会議中は 相手の話をしっかり聞こう。」


叱る目的を明確にする
叱る目的は「部下に成長してもらうため」です。部下にとって前向きに受け取れる言葉で叱ります。

NG例「こんなミス社会人としてありえない!」

OK例「このミスは、今のうちに修正すれば成長につながるよ。ミス防止対策を考えて次に活かしていこう!」


叱るタイミングと場所を考える
問題行動があった直後に指摘することで、部下も自分の行動を振り返りやすくなります。時間が経ちすぎると、指摘の効果が薄れてしまいます。

また人前で叱ると、部下は恥をかかされることになり逆効果です。できるだけ個別に呼び出し、冷静に話をしましょう。


④解決策を一緒に考える
叱るだけではなく、どう改善すればいいかを一緒に考えることで部下の成長を促します。

NG例「何度も同じミスをするな!」

OK例 「次に同じミスを防ぐために、どんな工夫ができると思う?」


叱った後にフォローする

叱った後そのまま放置せず、フォローすることが大切です。「あの件どうなった?」と気にかけたり、「あれから改善できたね!」と励ましたりすることで、部下のモチベーションを維持できます。


4. 具体的な叱るフレーズ

それでは、具体的なシチュエーションごとに叱り方をみていきましょう。

■仕事の手を抜く部下

「〇〇さんはいつも迅速に対応するところがいいですね。迅速な対応に加えて、最後まで丁寧に対応できるともっと良くなるよ」 ※「最後まで丁寧に対応」の部分は具体的な内容を入れてください


■ミスをした部下

「ミスは誰でもするので仕方がない。大事なのは、次にミスをしないためにミスの原因と防止策を考えることだよ。まずはミスがなぜ起こったのか考えてみよう」


■新しい仕事を拒否する部下
 

「新しい仕事は不安があるよね。フォローをするから、まずはやってみよう。やってみて上手くいかなかったら新しい方法を一緒に考えよう」


まとめ

部下を叱ることを避けてしまうと、結果的にチームの成長を妨げることになります。しかし、叱ることとパワハラは別物ですので、適切に叱ることで部下の成長を促がしていきましょう。

パワハラにならない叱り方のルール

① 事実に基づいて叱る
② 叱る目的を明確にする
③ 叱るタイミングと場所を考える
④ 解決策を一緒に考える
⑤ 叱った後にフォローする

以上5つに気をつけて、部下との信頼関係を築いていきましょう。

            

            

            

            

            

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