CS(顧客満足度)の向上はES(従業員満足度)の向上が必須|CSとESの相関関係とは
2024年12月18日 2024年12月18日 新人育成担当者向け、ビジネスコミュニケーション
人材育成トレーナー太田章代です。
企業研修講師として現場を見ていると、会社が「CS(顧客満足度)を向上させよう!」と目標を掲げても、従業員にやる気がなく目標に向かって行動していないことがあります。
どんな商品やサービスを取り扱う会社でもCSを向上させることは、言うまでもなく重要なことです。
ここでは、CSの向上に関わるES(従業員満足度)との相関関係についてご紹介します。CS向上について知りたい方は、ぜひ参考になさってください。
YouTube版も公開しています
動画でも学べます。聞き流すだけでも理解できますよ!
CSとESの基本
CSとESの相関関係を見る前に、まずはCSとESとは何かをみていきましょう。
■CS(顧客満足度)とは
CS(Customer Satisfaction)顧客満足度とは、企業が提供する商品やサービスに対する顧客の満足度のことを指します。顧客満足度が評価は以下のような要因があげられます。
商品・サービスの品質:
・期待通りまたはそれ以上の価値を提供できているか
顧客対応
・顧客への接客、アフターサービスの対応の質
価格の適正さ
・支払った金額に対して得られた価値が満足できるものであるか
ブランドイメージ
・企業や商品に対する顧客の信頼感、感情的なつながり
■ES(従業員満足度)とは
ES(Employee Satisfaction)従業員満足度とは、従業員の職場環境や業務に対する総合的な満足度のことを指します。従業員が組織内で快適に働き、生産性を発揮できる状態を目指すものであり、以下の要素がESに影響を及ぼします。
職場環境
・人間関係や職場の環境(設備やオフィスの快適さなど)
・給与、福利厚生、昇進機会などの報酬や待遇
・働きやすさや柔軟な勤務体制
職務内容
・業務内容が個人の価値観やキャリア目標と一致しているか
リーダーシップ
・上司やマネジメント層からのサポートや指導の質
CSとESは相関関係がある
「CSを向上させよう!」となったときに、ESの話は出てきますか。私が知る限りですが、CS向上の前にESに目を向けている会社は少ないように感じます。
しかしESとCSは深い相関関係があります。CSを生み出すための商品やサービスをつくり出すのは従業員です。つまり、従業員のESが高いとCSも高い傾向にあるのです。
ESが上がると
⇒従業員のパフォーマンスが向上し、顧客へ質の高い商品やサービスを提供できるのでCSが上がる
CSが上がると
⇒企業や商品・サービスに対して顧客の信頼度が向上するため業績が上がる
業績が上がると
⇒企業は従業員が働きやすい最適な職場環境の提供ができるので、ESが上がる
ESが上がるとCSが上がる理由
ESとCSが相関関係にあることはご理解いただけたと思います。では、ESの向上によりどのような効果がありCSにつながっているのか詳しくみていきましょう。
1.従業員のパフォーマンス向上
ESの高い従業員は仕事に対するモチベーションが高く、自主的かつ積極的に業務に取り組む傾向があります。その結果、顧客対応の質が向上し、CSが向上します。
従業員のパフォーマンスが向上したことによる変化の例/
「顧客の立場になって考えることができるようになった」
「リピーターが増えた」
⇒CSの向上につながっている
2.従業員エンゲージメントが高まる
ESが高い従業員は、企業やブランドに対して愛着を持つ傾向にあります。そのため、顧客対応において企業の価値観を反映した行動を取ることが多く、結果的に顧客に一貫した良い印象を与えることができます。
従業員のエンゲージメントが高まったことによる変化の例/
「自信を持って商品やサービスの説明ができるようになった」
「自社の価値観に顧客が共感してくれた」
⇒CSの向上につながっている
3.イノベーションの促進
ESが高い職場は、従業員が安心して意見を提案できる心理的安全性があります。このような文化の中で生まれたアイデアは、商品やサービスの品質向上につながり、CSの向上をもたらします。
イノベーションの促進による変化の例/
「新しい商品が開発されヒットした」
「既存のサービスにより良いサービスが追加され顧客に喜ばれた」
⇒CSの向上につながっている
ESとCSの良好な関係がもたらす成功事例
多くの成功企業がESとCSの相関関係を重視しています。以下はその一例です。
ケース1: テクノロジー企業
GoogleはESの向上を目的に、自由度の高い勤務体制や充実した福利厚生を提供しています。この取り組みにより、従業員が高い創造性を発揮し、顧客に対して革新的なサービスを提供し続けています。
ケース2: ホスピタリティ業界
ホテルチェーンで有名なリッツ・カールトンは、ESを重視しています。ESを上げるための一つとして、従業員が自主的に顧客の期待を超えるサービスを提供できるよう、裁量権を与えています。この結果、従業員は仕事に誇りを持ち、高品質な顧客サービスが提供されています。
ESとCSを同時に高めるための施策
企業がESとCSを向上させるためには、両者を連携させたアプローチが必要です。具体的な施策は以下の通りです。
1.目標の共有
CS向上が企業全体の目標であることを明示し、従業員がそれを自身の目標として取り組む環境を整える。
2.フィードバック文化の構築
従業員からの意見を尊重し、職場環境の改善に活用する。
3.従業員教育とトレーニング
従業員が顧客対応スキルを磨き、自信を持って業務に臨めるようにする。
4.リーダーシップの強化
管理職から明確なビジョンを示し、サポートや指導の質を上げるようにする。
5.成功の共有と報酬
顧客満足度の向上に寄与した従業員を適切に評価し、インセンティブを提供する。
まとめ
ESとCSは、企業活動の中で相互に影響を及ぼし合う重要な要素です。従業員が満足して働ける環境を整えることで、顧客に対しても質の高いサービスを提供でき、結果として企業全体の成長につながります。ESとCSの関係性を理解し、バランスの取れた方策を実行することが、企業の持続的な成功をもたらす鍵となります。
執筆者プロフィール
- 新人育成トレーナー
アイキャリア株式会社太田 章代 - 企業・団体でのコミュニケーション研修、ビジネスマナー研修など、2,000回以上(2023年現在)登壇。 プロフィール詳細
新着記事
-
- CS(顧客満足度)の向上はES(従業員満足度)の向上が必須|CSとESの相関関係とは 2024年12月18日
-
- カスタマーハラスメントの背景と対応策 2024年11月29日
-
- 昭和のリーダーと令和のリーダーの違い 2024年11月08日
カテゴリー