太田章代
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執筆者:ビジネスコミュニケーション専門家 太田章代
日本一気さくで身近な研修講師を目指している、太田章代です。

仕事では、周りの人の力を借りるためにお願いをしたり、お客様と交渉をする場面があります。そんなときに、スムーズに相手から「YES」という返事をもらえたらいいと思いませんか。

人が頼みごとを承諾する裏側には、人の心理が関係しています。

ここでは交渉を通す場面で有効な、心理テクニックの一つである「フットインザドア」について詳しくご紹介します。

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動画でも学べます。聞き流すだけでも理解できますよ!

心理学のフットインザドアとは

フットインザドアとは、心理学に基づく交渉術です。最初に小さな頼みごとを承諾してもらうと、次に本題となる難しい頼みごとを承諾してもらいやすくなるというものです。

人は無意識のうちに、自分の発言や行動に一貫性を持たせようとします。例えば、「一度受けた仕事は、次も受けてしまう」などです。無意識に「一度承諾した相手からのお願いだから、もう一度聞いてあげよう」と思ってしまうのです。

コロコロ意見や行動が変わる人は信用されませんよね。人は信用されたいので「一貫性の原理」が働くのです。その「一貫性の原理」を利用したものが、フットインザドアのテクニックなのです。

フットインザドアを使うと承諾率が4倍

スタンフォード大学の心理学者のジョナサン・フリードマン氏とスコット・フレイザー氏が「フットインザドア」について実験を行いました。

実験者たちは、カリフォルニアの住宅街を回り「大きな交通安全の看板を、家の庭先に設置させて欲しい」と頼みました。いきなり本題に入った結果、承諾率は17%でした。

しかし、はじめに「窓に交通安全のステッカーを貼って欲しい」と、小さなお願いをして承諾してもらった後に、「大きな交通安全の看板を、庭先に設置させて欲しい」と頼みに行くと、承諾率は76%に上がったそうです。

小さな頼みごとを承諾すると、その後の大きい頼みごとも受け入れられやすくなるというフットインザドアの効果が証明されています。

交渉の4つのステップ

それでは、フットインザドアのテクニックを使うときの4つのステップをみていきましょう。

1.自分が頼みたい最終的な目標を設定する
2.その目標につながる小さな頼みごとを設定する
3.小さな頼みごとから頼んでみる
4.最終的な頼みごとをしてみる

フットインザドアを使った交渉術の例

それでは、ビジネスシーンでフットインザドアを使った会話例を見ていきましょう。

■コピー機の営業電話をする場合

最終的な頼みごと ⇒ 最新コピー機の設置
小さな頼みごと  ⇒ 3分だけ話を聞いて欲しい、無料で最新コピー機のお試しができる

営業「3分だけお時間をいただいてもよろしいですか」

お客様「3分だけならいいですよ」

営業「今月限りのキャンペーンで、最新コピー機を無料でお試しをしていただく事ができますが、いかがでしょうか」

お客様「無料なら試してみようかな」

~後日~

営業「お試しいただいて、いかがでしたでしょう」

お客様「使いやすかったよ」

営業「それでは、引き続き、ご利用になりませんか」

お客様「そうですね」

知らない営業から電話があったときに、ほとんどの人は話を聞きたくないとブロックするでしょう。そこを「3分だけ」という小さいなお願いでクリアすれば、最新コピー機を提案できる可能性が格段に高まります。また、いきなり「有料でコピー機を設置して」とお願いするより、まずは無料設置でハードルを下げてお願いをすると、次の有料設置につながる可能性が高まるというものです。

■プレゼン資料作成を依頼する場合

最終的な頼みごと ⇒ 10Pのプレゼン資料のうち、半分の5Pの作成を手伝って欲しい
小さな頼みごと  ⇒ 表紙の作成、1Pだけ作成

上司「10Pのプレゼン資料を作成するんだけど、表紙の作成だけ君にお願いできないかな」

部下「かしこまりました」

上司「ありがとう。あ、ごめん。せっかく表紙を作成してもらうから、一緒に最初の1Pだけお願いしてもいいかな」

部下「1Pだけならいいですよ」

~提出後~

上司「わかりやすく作成してもらったから、あと4P同じ感じで作成をお願いできないかな」

部下「あと4Pですね。同じ感じなら、できそうです」

最初から「プレゼン資料5P作成して」とお願いしていたら、相手はハードルが高く承諾してくれない可能性があります。しかし、小さなお願いを承諾すると、承諾をした自分を貫くという「一貫性の原理」が働いて、次の重い仕事も承諾してしまうのです。

まとめ

最終的な頼みごとに入る前にワンステップ置くことで、相手に承諾してもらえる確率が高まりますね。ただ、このテクニックを同じ相手何度も使うと、相手に気づかれてしまい印象が悪くなる場合があるため注意が必要です。相手との関係性や頼みごとの難易度によって、考えて使うようにしたいですね。


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