マスク禁止問題をビジネスマナーの観点から考える

2020年01月07日 2023年10月27日 ビジネスマナー

朝日新聞様より『マスク禁止問題』について取材していただき、記事が掲載されました。冬になると毎年起こるマスク問題について書きたいと思います。

近年マスクをしている人が増えたように感じます。研修でも半分以上の受講者がマスクをしていると違和感を覚えます。マスクは元来、風邪やインフルエンザの予防のため、もしくは風邪を移さないように感染予防のためにつけたり、気管支が弱い等の持病を持っているための用途で使用されます。しかし、最近では『マスク依存症』という対人恐怖症のためマスクをして顔を隠すという現象もあり、特に若年層ではマスクで顔を隠すと安心する人もいるようです。

イオンが「接客時のマスク着用を禁止」と通達

2019年12月にイオンが「マスク禁止令」を従業員に通達しました。ただ、全面的にではなく原則としています。マスクを着用してもよい例外として 1.風邪などで咳やくしゃみがひどい 2.花粉アレルギーなどがある 3.その他の理由で上司に申し出がある と定めたのですが、SNS上では「マスク禁止」という言葉ばかりがクローズアップされ「母が困っている」「マスクできないなら仕事を辞める」などの批判の声広がりました。賛成意見としては「極端だけど、ちょっとわかる」等ありましたのでやはり賛否両論ありますね。

マスクを着ける弊害は何か?

人がコミュニケーションを取る時に重要なのは、目元、口元です。非言語コミュニケーションで相手の感情を読み取ります。マスクをしていると、口元が隠されるわけですから通常のコミュニケーションが取りづらい状態になります。目だけで笑っていると分かっても、やはり口が見えた方が笑顔は分かりやすいものです。マスクをしていると「感情を読みづらい」「何を考えているか分からない」という印象になります。

ビジネスマナーではマスク着用はマナー違反なのか?

仕事では人とのコミュニケーションが大切なので、原則としてつけない方がいいでしょう。「マスクはマナー違反」と言われる理由は 1.感情が読みづらい 2.声がこもって聞こえにくい 3.そもそも顔を隠して話すのは失礼 などがあげられます。しかし、マナーとは『相手への思いやりを表現したもの』ですので、絶対こうでなければならないという事ではありません。相手が不快か不快ではないかという、相手本位の考え方が必要です。マスクも自分が着用したいからするではなく、相手がどう感じるかを考えて着用することが必要です。自分が風邪をひいてゴホゴホしていたら、相手への感染を防ぐためにマスクをする。風邪でもないのに、自分が安心するからマスクを着用するのはおすすめしません。

ただ、業種や職種によっても変わってきます。病院の受付の方がマスクをしていても違和感はないと思います。しかし、高級ホテルのフロントの方が全員マスクをしていたら違和感がありませんか? 私が研修に入っている銀行では、マスク禁止を出しています。しかしインフルエンザが流行した時は、「マスク着用令」が出て、入り口に『インフルエンザ予防のため、マスク着用をご了承ください』と張り紙を貼っています。

マスク着用時の気遣いの一言

以前、研修がはじまる前に受講者の男性が「風邪をひいているため、マスク着用のまま受講させていただきます。申し訳ございません」と伝えに来てくださいました。講師のことを考えて気遣いをしてくださったこの言葉に良い印象を持ちました。接客でも「喉の調子が悪いため、マスク着用のまま失礼します」と言われたことがあります。マスクをするのが当たり前ではなく、相手への気遣いの一言があるだけで、マスクをしていても全く気にならないどころか、仕事ができる人だなと感じました。一言伝えることができる職業の方は、ぜひ気遣いの一言を伝えてみてください。

マナーとは相手を不快にさせないことが最優先

まとめですが、マスク問題に関してはお客様、従業員全員の賛同を得ることは難しいです。マスク着用を許可するか、禁止するかは企業やお店が考えて決定すれば良いと思います。働く方もマスク禁止のお店で働けないと考える方は、違うお店で働いた方が賢明です。マスク着用許可した結果、売上が下がったりお客様からクレームがあれば、また考えていけば良いことです。最優先すべきは相手(お客様)のことです。マスク禁止問題がこんなに批判されるのは、『自分がマスクをしたいから』と自分本位な人が増えているのではないかと懸念します。現代は昔と違い考え方は自由で良いと思いますが、自分本位の考えだけで批判をしていない事を願います。

『マスク禁止』はマスクを不快と感じない人が増えれば、『マスク許可』となり時代の流れとともに変わっていくかもしれません。

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