3人のレンガ職人から学ぶ『充実した働き方』

2024年06月05日 2024年06月05日 新人育成担当者向け新入社員向け

新入社員育成専門の研修トレーナー太田章代です。
研修で受講者の皆さんに「何のために働いていますか」と聞くと、ほとんどの方は「お金のため」と言います。生活をしていくためにはお金が必要ですので、お金を稼ぐために働くのは当り前のことです。


しかし、お金のためだけに働くことが心の貧しさにつながる可能性があることをご存じですか。ここでは、「3人のレンガ職人」の話をもとに、充実した働き方について考えていきましょう。


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 動画でも学べます。聞き流すだけでも理解できますよ!


働く目的は何か


内閣府のおこなった国民生活に関する世論調査(令和4年10月調査)「働く目的は何か」についての結果は以下の通りです。


お金を得るために働く・・・63.3%
生きがいをみつけるために働く・・・14.1%
社会の一員として、務めを果たすために働く・・・11.0%
自分の才能や能力を発揮するために働く・・・6.7%
無回答・・・4.9%


年代別にみても、「お金を得るために働く」人の割合が圧倒的に高くなっています。


「3人のレンガ職人」の働き方の違い


イソップ寓話の「3人のレンガ職人」の有名な話があります。この話に出てくる3人のレンガ職人は『レンガを積む』という同じ仕事をしています。


要約すると以下のようなお話です。
ある旅人が道を歩いていると、一人の男が道の横で険しい顔をしてレンガを積んでいました。旅人はその男に「何をしているのですか?」と尋ねました。


男は「レンガを積んでいるんだ。朝から晩まで、俺はここでレンガを積まないといけないのさ。なんで、こんなことばかりしなければならないのか」と言いました。


もう少し歩くと、今度は一生懸命レンガを積んでいる別の男に出会いました。旅人は先ほどと同じように男に「何をしているのですか?」と尋ねました。


男は「俺はここで大きな壁を作っているんだ。この仕事のおかげで家族を養っていけると思うと嬉しいし、こんなありがたいことはない」と言いました。


また、もう少し歩くと、活き活きと楽しそうにレンガを積んでいる男に出会いました。旅人は同じように男に「何をしているのですか?」と尋ねました。


男は「俺たちは、歴史に残る偉大な大聖堂を造っているんだ。素晴らしいだろう」と言いました。


同じレンガを積む仕事をしている3人ですが、言っていることが全く違いますね。


「目的意識」で結果が変わる


この3人のレンガ職人は何が違うのでしょうか。それは仕事をする際の目的意識に違いがあるのです。


■1番目のレンガ職人


「レンガを積んでいるんだ」→目的意識なし


ただ目の前の仕事をこなすだけで、仕事にやりがいを感じていません。仕事を嫌々やっているので、「言われたことしかしない」「指示を待っている」「できるだけ楽をしたい」と考える傾向にあります。


■2番目のレンガ職人


「家族を養っていける」→目的は生活費を稼ぐため


お金を稼ぐことが目的になっているため、会社に貢献するから給与がもらえるという意識に欠けていることがあります。「給与が同じなら、面倒な仕事は避けたい」「仕事は楽しくないがお金のために仕方なく働いている」「今より給与が良い仕事があったら転職したい」と考えている人もいます。お金だけを追っている人は、生活の幸福度や満足度が低い傾向にあります。


■3番目のレンガ職人


「歴史に残る偉大な大聖堂を造っているんだ」→目的は世の中に貢献すること


目的や使命を果たすために、自分がどのような貢献ができるのか主体的に考え行動します。社会のため、人のために尽くすことで達成感や充実感を得ることができます。よって3番のレンガ職人が一番モチベーション高く仕事で成果が出やすいのです。


メジャーリーガーの大谷翔平選手は3番目のレンガ職人のように世のため人のために役に立ちたいという目的意識を持って野球をしているのは周知の事実です。「野球は儲かりそうだな」と思ってプレーしていないように見えますよね。お金より夢を追いかけているのです。自分の夢や目標を追求した結果、お金があとでついてきます。


「やらされ仕事」から「自分の仕事」になる方法


では、1番目、2番目のレンガ職人に3番目のレンガ職人のように「世のため、人のために仕事をするという目的意識を持ちましょう」と言っても、そんな簡単には変われないですよね。そこで、まずは以下のことからはじめてみましょう。


1.自分の望む人生を実現するために働く


本来お金を稼ぐことは、夢や自分の望む人生を実現するための手段であり目的ではありません。夢というと大そうな感じがしますが、「一軒家を購入してのんびり暮らしたい」「全国の温泉をめぐりたい」「好きな車を所有したい」など、自分がしたい事や欲しい物はあると思います。自分が望む人生を実現するために仕事をするという目的に切り替えれば、気持ちや行動が変わります。


2.どうせ働くなら楽しんじゃえ


生活のために仕事をしないといけないのは事実です。すごく単純な考え方ですが「働くのは、お金を稼ぐため」と割り切って、どうせ働くなら楽しんだ方が精神衛生上もいいものです。仕事の「やいがい」は、楽しく仕事をしていたら自然と出てくると思います。仕事は人生の中で大きな時間を占めています。一生嫌々仕事をするのか、楽しんで仕事をするのか、あなたはどちらを選びますか。


3.組織のビジョン達成のために仕事をする


本当の意味で仕事を充実させたいなら、組織のビジョン達成を目的にして働くことです。しかし、これは自分一人でできるものではないので、ビジョン達成に向けてメンバーが一丸となっているかなどの企業文化があるかにもよります。管理職の方は部下に会社ビジョンを落とし込んで仕事をする目的を明確にすることが大切です。お客様のためになることを真剣に考えて、世のため人のために役に立ったときに、仕事にやりがいを感じることができます。


まとめ


あなたは今、何人目のレンガ職人の立場で働いていますか。自分は今、何のために仕事をしているのか目的を明確にしてみてはいかがでしょうか。目的がわかれば、仕事への取り組み方や行動が変わってきますよ。






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