部下の成長に差が出る「北風上司」と「太陽上司」【新人教育担当者様向け】

太田章代
執筆者:新人育成トレーナー 太田章代

新入社員育成専門の研修トレーナー太田章代です。

 

「新人が思うように育ってくれない」とお悩みではありませんか。人材採用が難しくなっている現代において、採用した新人を育てることは、会社にとって重要なお仕事です。
 
ここでは、新人教育のヒントになるように、イソップ寓話の「北風と太陽」の例をあげて、新人教育に必要なことを解説していきます。

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動画でも学べます。聞き流すだけでも理解できますよ!

 

部下を変えようとしない


イソップ寓話の「北風と太陽」の話がありますね。北風と太陽が力比べをすることになり、旅人の上着を脱がせようと勝負したという内容です。北風は力ずくで旅人の上着を吹き飛ばそうと強い風を浴びせますが、旅人は上着をギュッと強くつかみ脱がせることはできませんでした。一方太陽は、優しく暖かい光を照らし続け、旅人は暑さに耐え切れずに自ら上着を脱いでしまいました。よって、北風と太陽の勝負は太陽が勝ちました。
 
単純な話ですが、人間の心理を表わしています。いかがでしょうか。あなたは北風のように、自分の思い通りになるよう強引に指導して、部下を変えようとしていませんか。こちらが強い態度で接すると、相手は必要以上に拒否反応を示します。時間はかかりますが太陽のように相手を温かく見守り、部下が自分の意思で動くように指導することが大切です。

■人材育成の教訓


・無理やり、強制では部下は動かない
・優しく温かく接した方が、部下は能動的に動いてくれる
・短期間で部下の成長を期待しない
・焦らず時間をかけて着実に部下育成に取組むことが大切
 
一言でいうと、「北風上司:自分本位な指導、太陽上司:相手本位な指導」です。

「北風上司」と「太陽上司」の違い


上記の北風の例を、部下がミスをしたときの指導に置き換えてみます。部下が何度もミスを繰り返している場合は、「とにかく変わってもらわないと困る!」という気持ちで強く指導しがちです。その気持ちはわかります。変わってもらわないと、上司も毎回フォローしていては大変ですよね。しかし、自分本位な指導していると、ミスがなくなるどころかミスが繰り返され、部下との関係性も悪くなっていたりします。
 
例えば『部下がミスをして、お客様と約束した納期に間に合わなかった場合』上司はどのように対応したらいいのか見ていきましょう。

■北風上司(悪い指導例)


・頭ごなしに「何をやっているんだ」と叱りつける
・「何でできなかったんだ」と責める
・部下が理由を話そうとしても「言い訳するな」と発言を遮る
・「ミスをしないように〇〇した方がいい」と一方的にアドバイスをする
・部下の気持ちを考えずに指導する

自分本位に指導した結果、部下は・・・
・委縮する
・自信をなくしてしまう
・叱られたくないので、ミスを隠すようになる
・上司に対して心を閉じる


→結果:部下の成長が遅くなる、上司と部下の人間関係が悪くなる

■太陽上司(良い指導例)


・まずは部下の話を聞く
・今後のミス防止対策を部下に考えさせる
・部下の成長を長い目で見守る
・部下のことを尊重しながら指導する
 
相手本位に指導した結果、部下は・・・
・上司に信頼を寄せる
・部下が自分の意思で動く
・上司から大切にされていると感じる
・上司に対して心を開く
 
→結果:部下の成長が促進される、上司と部下の人間関係が良くなる


「太陽上司」は厳しさも必要


部下を尊重して温かい気持ちで見守る太陽上司ですが、部下を甘やかすということではありません。指導の目的は「部下の成長」です。部下が成長するためには、愛情を持って叱ることも必要です。叱る人には責任が発生します。部下の成長の妨げになっているとわかっていることでも叱らないのは、冷たい北風上司対応だと思っています。時には厳しく、時には優しく。正しく叱れば、部下は自分のためだと受け入れてくれます。

まとめ


「北風上司」「太陽上司」あなたはどちらですか。北風のように、強引に荒業で部下を変えようとするのではなく、太陽のように、温かく長期的に部下を指導していきたいものです。部下を変えることは難しいので、上司の接し方を変えていきましょう。





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