「Z世代」新入社員の特徴と育成のポイントを解説【新入社員育成担当者向け】
2022年11月03日 2024年03月29日 新人育成担当者向け
研修講師という仕事柄、「今どきの新入社員との接し方がわからない」「新入社員をどう育成したらいいのか困っている」というご相談をいただきます。
人材の採用が難しい上に、入社して早期に辞めてしまったのでは、企業としても将来が不安になってしまうため、新入社員の育成は重要な課題です。
そこで今回は、今どきのZ世代新入社員の特徴と接し方、新入社員を即戦力化するための育成のポイントをご紹介します。
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Z世代とは
「Z世代」とは、アメリカから伝わった世代分類を指す言葉です。日本だと、「ゆとり世代」「さとり世代」という世代分類がありますね。2022年時点において、高卒、大卒の新入社員はみなさんZ世代に当てはまります。
またZ世代の他に、X世代、Y世代、α世代という世代分類があります。これは、生まれ育った時代背景にある、社会情勢や生活様式を区分して、その世代の人達が何に関心があり、どんな消費行動をとるのかを把握して、マーケティングなどに応用しているものです。社員教育の場でも、世代ごとの価値観を理解したり、人材育成に役立てるために使われています。
Z世代は、生まれたときからSNSがあり、スマートフォンで情報収集をしている世代のため「デジタルネイティブ」と呼ばれています。またY世代は、IT革命とともに成長した「デジタルパイオニア」と呼ばれており、成長過程でSNSが普及し使ってきた世代です。世代ごとの名称や年齢を表でご覧ください。
※2022年時点のまとめです。世代の区切りには諸説あります。
Z世代の新入社員の特徴
もちろん個人差はありますが、傾向として特徴を知っておくと、新入社員との接し方や教育方法を考えるときに役に立ちます。
1.転職ありきで「自分のため」に働く
リクルートマネジメントソリューションズの「新入社員意識調査2022」(6月29日発表)によると、「現在の会社で勤め続けることにこだわらない・どちらかと言えばこだわらない」が57.5%。「定年まで現在の会社で勤めたい・どちらかと言えば勤めたい」32.0%という結果でした。Z世代は、終身雇用を望んでいない傾向にあるため、「会社のため」ではなく、「自分のため」に人生を良くすることに興味があります。
2.叱られるのが苦手で傷つきやすい
Z世代は学校の先生や親御さんに叱られてきていない人も多く、誰でも叱られるのは苦手ですが、特にZ世代は苦手なようです。また、新入社員は分からないことも多く、失敗も多いため「自分はダメな人だ」と思い込み自己肯定感が下がりがちです。入社半年の新入社員フォローアップ研修で企業に伺うと、「新人がメンタル不調で休職している」という話を聞くことが多くなっているように感じます。
3.効率性を重視する
古い体質の企業に就職すると、「まだ紙で印刷するのですか」といったアナログな部分が気になるようです。デジタルネイティブなZ世代は、「このツールを使用すれば作業効率が上がる」など、発想が自然にできます。職場内でデジタル化して作業時間を短縮できることはないか、Z世代の新入社員に聞いてみてもいいかもしれません。
4.モラルが高く優等生
指示された事はしっかりする、規則もきちんと守る優等生という感じです。研修でも休憩終了の1分前には、みんな席に着いてはじまるのを待っています。グループワークも時間が終われば、すぐに静かになります。今までソツなく過ごしてきたせいか、失敗することを嫌がる人も多いようです。優等生のため「仕事ができない人と思われたくない」「間違ったことをしたくない」と考える傾向にあります。
5.納得しないと動かない
昔は「やっておいて」と短く指示を出されても「はい」と動いていました。しかしZ世代は、仕事の目的や内容を丁寧に説明し、納得しないと動きません。育成担当者にとっては大変かもしれませんが、精神論ではなく、論理的を伝えてあげてください。
Z世代の新入社員を育成するポイント
ここからは、Z世代の新入社員を即戦力化するために、育成のポイントを5つご紹介します。
1.個性を伸ばす
SNSを通して様々な価値観に触れているZ世代は多様性があり、「自分らしさ」を大切にしています。まずは、Z世代の価値観や個性を理解することが大切です。新入社員全員を同じように育成するのでは、一人ひとりの強みを伸ばすことができません。OJT計画書も個性に合わせて変更が必要です。
2.情報をオープンにする
Z世代は評価基準の透明性や、ルールが明確になっているなど、情報をオープンにすることを求めています。逆に、情報をかくされると不信感を持ちます。育成担当者からも報連相を密におこない、可能な限り情報をオープンにしていきましょう。
3.フラットな関係づくり
組織ですから、上下関係は勿論あります。しかし上から目線で命令したり、理不尽な物言いなどは極端に嫌がり、不信感を抱かれてしまいます。自分も新人と共に成長するスタンスで、「教える」というよりも「成長を支援する」コミュニケーションをお勧めします。
4.できたことを承認する
承認欲求からくるSNSで「いいね」が欲しい気持ちが象徴するように、お金や肩書きよりも「認めて欲しい」という欲求が強い傾向にあります。仕事が100%できていなくても、できたところを認めて伝えてあげてください。小さな成功の積み重ねが自信につながっていきます。
5.叱るときは「褒めて」から
先に述べたように、新人は叱られると傷つきモチベーションが下がってしまうことがあります。とはいえ、改善して欲しいことを伝えないのでは、いつまでたっても成長しません。そこで、叱るときには、先に褒めて心を開くことをお勧めします。例えば以下のような伝え方です。
■提出物の期限を守れなことがあることを面談で叱る場合 ✕「何で提出物の期限が守れないんだ」 ○「お願いした仕事を丁寧に完成させてくれるので助かっているよ。あとは、期限が確実に守れるようになるといいね」
まとめ
「今どきの新入社員は苦手」と思っていると、育成も上手くいきません。ジェネレーションギャップはありますが、人間の根底は変わらないと思っています。昔は理不尽なことも我慢していたところがありますが、Z世代は人間らしく自分の考えを表現できるようになったと感じています。新人育成担当者は1人ひとりの個性に対応する力を身につけていきたいですね。
執筆者プロフィール
- 新人育成トレーナー
アイキャリア株式会社太田 章代 - 企業・団体でのコミュニケーション研修、ビジネスマナー研修など、2,000回以上(2023年現在)登壇。 プロフィール詳細
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