「報告・連絡・相談」できる社員を人材育成する

2019年04月30日 2023年10月27日 ビジネスコミュニケーション

報連相とは「報告」「連絡」「相談」をまとめた造語です。報連相の始まりは、1982年、山種証券の山崎富治社長が社内のキャンペーンとして提唱しました。「報告をせずに、自分勝手に仕事を進めている」「相談をせずにミスを繰り返す」など、報連相に関する問題は組織の中でよく耳にします。ここでは、部下に指導ができるように、まず上司や指導者が「報・連・相」について理解を深めていただきたいと思っています。

(1)報・連・相の重要性

報連相は、「報告・連絡・相談ができる、風通しの良い職場環境を作ろう」というのが目的で作られた言葉です。部下の管理のために使うと、窮屈に感じるかもしれません。そもそも人間関係が円滑で、常にコミュニケーションが取れている職場では報連相という言葉は必要ないのです。しかし、社員同士上手くコミュニケーションが取れていない職場が多いのも事実です。そこで、報連相という言葉で情報共有をすることが重要になります。報連相の重要性を理解して、仕事をスムーズに進めていきましょう。

(2)報・連・相は必須能力

社会人として行動する上で欠かせないのが「報・連・相」です。 報・連・相がしっかりできる=上司の信頼を得ると言ってもよいでしょう。上司と部下のコミュニケーションが密になれば、上司の不安も軽減されます。報・連・相がしっかりできる部下なら、上司も安心して責任ある仕事を任せることができるのです。「報・連・相」は全社員が情報伝達をしやすくするために存在します。社員同士が情報共有をしておくことで、意思決定が迅速に進められ、不測の事態にも素早く対応することができます。

(3)報・連・相の違い

報告・連絡・相談の目的などの違いについて説明します。
目 的 誰に伝えるか 何を伝えるか
報告 新自分の業務を関係者に把握してもらう 上司・指導者 ・業務の結果 ・進捗状況 ・中間報告 ・完了報告 ・ミスやトラブルの報告  等
連 絡 予定や業務情報等をインフォメーションする(事実のみ) 上司・指導者・全社員 ・どこで何をしているか ・今後の予定 ・事実や決定事項の周知 等
相 談 決断しかねている状況において、判断材料を増やす 上司・指導者 ・悩み ・問題点 ・相談前にしたこと ・休暇の取得 等

(4)報・連・相のない職場で起きる問題

■「報告」をしていないと

・上司に指示された業務の進捗を報告していない  →上司が不安になり、管理コストがかかる

・クレームやミスが発生したが報告していない  →被害を最小限に抑えることができず上司の仕事が増え組織の評価が下がる

・仕事の進行や変更があったが、変更報告していない  →何かあった時に上司が即座に対応できない

■「連絡」をしていないと

・遅刻した際に事前連絡をしていない  →当日の仕事のコントロールが難しくなる

・無断で外出をする  →周りの人の時間を削ってしまう

・会議の予定が伝わっていない  →仕事の段取りに支障をきたす

■「相談」をしていないと

・わからないのに「~だろう」で勝手に業務を進め失敗した  →業務のやり直しで無駄な時間が発生する

・進行が遅くなったのに相談をせずに、納期に間に合わなかった  →会社や上司の責任問題へ発展

・自分一人で悩んで解決しない  →時間が無駄になり生産性が下がる

(5)報・連・相をするときの4つのポイント

①ミス、トラブルはすぐに報告をする

上司・指導者が忙しそうで声をかけるのが気まずくても、すぐに報告をしましょう。人間誰しもミスをすることはあります。ミスをすることは許されても、ミスを隠すこと(報告しないこと)は許されません。早期対応ができれば、組織のリスク軽減にもつながります。

②結論から先に話す

上司が一番知りたいことは結論です。なぜそうなったのかという過程は補足情報です。仕事では、簡潔に短くまとめて伝わる話し方をします。また、報告・連絡・相談のどの場合でも、「事実」「意見」「推測」を分けて話しましょう。

1:「事実」を伝える 2:「意見」「推測」を伝える 「これは私の意見なのですが」「状況から推測すると」と前置きをつけて話します。

③タイミングを掴む

通常の報告・連絡・相談 ・上司の手が空いていそうな時  「〇〇課長、見積り金額についてご相談です。今、お時間よろしいでしょうか。」

ミス、トラブルの場合 ・上司が忙しそうでも、すぐに報告  「〇〇課長、お忙しいところ申し訳ございません。ミスのご報告です。 今お時間よろしいでしょうか。」

④メモや資料を活用する

情報量の多いもの、複雑なものなどの場合、口頭だけでなく、メモや資料を用意しましょう。現物、写真など、一目でわかる資料は、時間を節約して上司の理解を深めることができます。

(6)上司に伝わる4つのポイント

報連相は上司の意志決定をサポートするものとして、正確に伝えなければなり ません。必要な情報をわかりやすく伝えましょう。

①「伝える情報」と「伝えない情報」を整理する

情報が多く話しが長いと上司に伝わりづらくなります。上司がアドバイスをするのに必要な情報か必要のない情報かを整理してから伝えましょう。

伝える情報/例 ・起きた出来事 ・上司が必要としている情報のみ

伝えない情報/例 ・自分の感想 ・時系列の細かい情報

②結論から伝える

簡潔にわかりやすく伝えるために、事前に話しの組み立てをしてから伝えましょう。

伝え方/例 「明日は3名の増員をお願いします。実は、本日・・・・・・」

③数字を使う

上司に正しく理解をしてもらうには、数字を使うことがポイントです。

伝え方/例

・予想以上の人が来場した →予想人数500名の2倍1,000名が来場した

・長い列ができた →入場まで30分お待ちいただいた

・会議資料を多めに用意しておきました →会議資料の予備を10部用意しておきました

④伝え方を考える

伝え方による印象の違いがあります。

例/お食事処が忙しくて、長い列ができている。明日増員をして欲しい場合。

A:このままではスタッフが疲れてしまいます。増員してください。 B:このままではお客様に迷惑がかかります。増員してください。 C:お客様に満足していただき売上をアップさせます。増員してください。

Aは自分の感情で伝えているため説得力がありません。Bも予測でしかありません。Cが一番前向きで、「売上」という増員するために必要なワードが入っています。

(7)相談の仕方

一人で悩まず早めに相談してください。仕事は周囲と協力しながら進めていくものです。新入社員の知識・経験では判断ができないケースがあることから相談が求められます。悩みすぎは時間の浪費です。10分考えて、どうしたらよいか見当がつかない場合は相談しましょう。相談するときには、単に「どうしたらよいでしょうか?」ではなく、自分の考えを添えて相談しましょう。

あなた「〇〇係長、見積り金額についてご相談です。今お時間よろしいでしょう か」

〇〇係長「はい」

あなた「ありがとうございます。見積り金額を△△円で考えております。いかがでしょうか?」

(8)報連相ができる仕組みづくり

ここまで、報連相についてお話をしました。報連相はコミュニケーションの一つですので、部下から上司だけではなく、上司から部下への報連相も必要です。 また報連相を円滑に進めるための組織での仕組み作りが重要です。

報連相を理解できても個人任せにせにすると、報連相を忘れてしまう社員が出てきます。情報共有をして円滑に業務が進むように仕組みづくりをしてください。

例/ ・朝礼や終礼で情報共有会 ・メールはCcで上司にも送る ・日報に欲しい情報の記入欄をつくる

(9)まとめ

報連相と言っても奥が深いですね。報連相ができている組織はミスも少なく、仕事も効率的に回っています。報連相は人間で言うと血液のようなものです。血液が止まると、体調不良になり病気になります。組織も血液の循環をよくして健康な環境を整えていただきたいと思います。

お読みいただきありがとうございました。


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