近年、研修に入っている企業の経営者や管理職の方々から新人社員の特徴についてよく耳にするフレーズがあります。それは、強み「言われたことはきっちりおこなう」「まじめ」、弱み「自分で考えて行動しない」「言われたことしかしない」という言葉です。いわゆる『主体性がない社員』が多いと言われます。『主体性』とは、自分の意志・判断で行動しようとする態度です。これが昔に比べて足りないというのです。

『主体性強化研修』で1年間新入社員を伴走

主体性強化研修_テキスト
私は現在、ある設備会社様の新人社員に毎月『主体性強化研修』をさせていただいています。主体性を養うために1年間伴走しているのです。これから会社が成長していくためには、主体性のある社員を計画的に育てていく必要がありますので、参考になればと思い書きます。

新人社員の主体性がないのは時代の流れが大きく影響している

「ゆとり世代」と聞くとどのようなイメージがありますか?「ゆとり世代」はネガティブなニュアンスで呼ばれることが多いように感じます。「詰め込み教育」から「ゆとり教育」になり、競争社会をやめて、みんな平等という考えになりました。運動会の徒競走でも全員1位という内容も物議を呼びました。ゆとり世代は「言われたことしかしない」「コミュニケーション能力がない」など言われています。もちろん、ゆとり世代が、みんな同じ性格ではないので当てはまらない人もいます。SNSの発達により、個人でいても多くの人とつながりを持てるようになり、リアルに人と接しなくても情報を入手できるようになったため、主体性やコミュニケーション能力が低下したのは必然ではないでしょうか。

主体性のある社員に育てる第一歩

主体性のある社員に育てるには、まず本人が受身思考になっていないか気づくことが、主体性のある社員になる第一歩です。

主体性のない社員とは

□自ら行動しない
言われたことしかしない。仕事に創意工夫がない。

□指示待ち社員
指示されるまで待つ。自分の仕事しかせず、他の業務は他人事だと思っている。

□自分の意見を言わない
何となく仕事をしているので自分の意見がない。もしくは意見があるが発言しない。

□仕事の目的意識がない
何のために仕事をしているのか目的がない。将来のビジョンもなく今だけを見ている。

□マニュアル社員
教えてもらわないとできない。分からないことを自ら聞こうとしない。

上記に当てはまっている方は主体性のない社員と言われても仕方ありません。本人が気づけば、改善点も見えてきます。ただ気をつけなければならないのは、業務をまだ覚えていないうちから、主体的に自分の判断で仕事をすることはできないため、一人ひとりの成長具合により時期を見て指導する必要があります。

新人の主体性を奪っている上司のNG行動

新人社員に変化を求めるなら、まず上司が変わらなければなりません。育成する側の上司や先輩が【新人社員の主体性を引き出す】ことを意識して新人に関わることが重要です。

新人の主体性を奪っている上司のNG行動

□自分がした方が早いので、仕事を任せない
□何でも教えてしまい、新人に考えさせない
□必要以上に細かく口を出して、新人を信頼していない
□新人が良い行動をしても、観察しておらず褒めない
□自分の考えを押しつける傾向にある
□仕事を指示するときに目的を伝えない
□新人の意見や話を聴かない
□新人の意見や行動を受け入れず否定から入る
□新人に興味がなくコミュニケーションが少ない

上記に1つでも✔が入った場合は、新人の主体性を奪っている可能性があります。

新人がわかりそうな事なのに「これはどうしたらいいですか?」と聞かれたら「どうしたらいいと思う?」と返してください。簡単な返しですが、主体性を育てる上でとても効果的な言葉です。上司・先輩は新人の育成スキルを身につける必要があります。組織で人が育つ仕組み作りをしましょう。

新人が主体性を発揮するための基本3つの要素

1 目的意識

会社には「ビジョン」や「ミッション」など会社が存在する意義があります。まずは共通の目的を理解することからスタートです。個人でも「仕事を通してどんな人になりたいのか」キャリアデザインをして、人生という大きい目標から、1年後の目標まで明文化して目的意識を持つようにします。

2 チーム意識

「個人」の視点から「組織」への視点へと視座を高めて仕事を捉えることが、主体性を持つ上での土台となります。主体性は自分勝手に仕事を進めることではなく、組織の中で誰かの役に立てることが大前提です。上司やお客様に求められていることを、いつも意識して仕事をするようにします。

3 持ち味の発見

人には強み、弱みがあります。主体性を発揮できない理由の1つに「自分に自信がない」というのがあります。自分の持ち味である「強み」を知り、周りに持ち味を伝えて相互理解ができれば、コミュニケーションも円滑になります。

仕事を1つ任せてみる

主体性強化研修_社員のセミナー様子
この写真は新人社員が研修で学んだ内容を、自分達が講師になり上司の皆様に教えているところです。自分が講師になって伝えることで、研修内容の理解を深めるためにおこなっています。研修がはじまった日に新人には「半年後と1年後に講師になって上司の先生になってもらいます」とお伝えしてあります。パワポ作成や研修構成などは、すべて新人が考えます。口を出したくなりますが、ひたすら黙って見守ります。完全に研修をお任せしているのです。すると、想像以上に練習していたり、独自性が出て新しい発見ができたりして面白いのです。研修は受身になりやすいので、主体的に行動できる環境をつくっています。

仕事を任せるときの注意点

1 なぜ、この仕事をあなたに任せたいのか理由を伝える
2 丸投げではなく、疑問点や不安を解消してから任せる
3 中間報告、完了報告をしてもらい、できていれば労いの言葉や感謝を伝える

まとめ

『主体性のある社員を人材育成するには』について書きました。新人が主体的になれないのは、自分に自信がなかったり、上司が主体性を奪っている可能性があります。命令がコミュニケーションの中心になっていませんか?「部下に任せるより自分で動いた方が早いし、成果も上がる」と仕事を任せないと、上司の仕事が増え続けます。次世代が育たないことは、長い目でみて企業の損失です。信頼関係を基盤として、部下の主体性が発揮できる環境をつくっていただきたいと思います。

人材育成研修のアイキャリア株式会社 代表 太田章代太田章代プロフィール