仕事で丁寧な言葉遣いをする『ビジネスマナー』
2019年10月10日 2023年10月27日 ビジネスマナー
人の印象を判断するときには、服装、髪型、表情など視覚的要素の情報は欠かせません。ただ、ぱっと見「清潔感があり感じがいいな」と思っても、話したら「ん?印象と違うな」と思うことはありませんか。仕事では相手と親しくなっていくことで、信頼関係が築かれます。信頼関係を築くためにも大切な一つに言葉遣いがあげられます。今回は『丁寧な言葉遣い』をテーマに、人材育成に役立つ情報をご紹介します。
フランクな言葉遣いは、本当にお客様と親しくなれるのか?
言葉遣いの研修をすると、「私たちの業界はこんな丁寧な言葉遣いはしません」や、新入社員の方から「上司はいつもお客様とフランクに話しています」等、ご意見が出てきます。相手との距離を縮めて親しくなるのに、ある程度はフランクな話し方が必要かもしれません。ただ、最初からフランクだと不快に感じる人が多いのも事実ですので気をつけましょう。相手との関係性によって、言葉遣いを変えていくのはいいと思います。業界的に、丁寧な言葉遣いが合わないと思っているのは固定観念の場合があります。丁寧な言葉遣いでクレームになることはありませんが、言葉遣いが悪くてクレームになることはあります。仕事をする上で、最低限の正しい言葉遣いをマスターしておくと、TPO(時、場所、場合)によって使い分けることができます。丁寧な言葉遣いは相手を大切にする最高のコミュニケーションツール
私たちは日常生活の中で、言葉を使って相手とコミュニケーションを取っています。丁寧な言葉遣いは、そのまま相手を丁寧に扱っていることが伝わり、良い印象を持っていただけます。人は誰しも大切にされたいという承認欲求があります。丁寧な言葉を使って接されると、嬉しいものです。また『敬語』は敬う語と書きます。相手を敬っていても敬語を使わなければ、敬っている気持ちは伝わりません。言葉は毎日、しかも一生涯使います。言葉遣いを変化させるだけで、相手からの印象も人間関係も良くなるくらい、影響力の大きいものなのです。3種類の丁寧な言葉遣い
敬語を構成する3つの種類は、尊敬語、謙譲語、丁寧語です。遠く昔に学校で習いましたが、すっかり忘れている方も多いと思います。『尊敬語』
敬うべき相手の動作や状態を表す言葉です。主語はお客様と考えてください。 問題です。「来る」「言う」「聞く」の尊敬語は?答え:来る→いらっしゃる、言う→おっしゃる 聞く→お聞きになる 例/「本日いらっしゃいますか」「○○様がおっしゃっていました」「詳しい説明をお聞きになりましたか」など
『謙譲語』
自分の動作や状態をへりくだって表す言葉です。主語は自分と考えてください。 問題です。「言う」「見る」「行く」謙譲語は?答え:言う→申す、見る→拝見する、行く→参る 例/「私が○○と申したところ」「書類を拝見しました」「本日参ります」 など
『丁寧語』
「です」「ます」「ございます」やはじめに「ご」「お」をつけるなど、相手に対して物事を丁寧に言い表す言葉です。例/「言います」「行きます」「お弁当」「お口」「お召し物」 など
私が人材育成研修に登壇したときに指摘された間違った言葉遣い
私が講師になってはじめて登壇した電話応対研修の受講者アンケートに「ら抜き言葉が気になった」と書いてありました。自分では気づいていなかったので、衝撃的だったのを覚えています。それから気にして話すようになりましたので、ご指摘いただいた方には感謝しています。『ら抜き言葉』
見れる → 見られる、食べれる → 食べられる、来れる → 来られる避けたい言葉遣い
『曖昧な表現』
あいまい言葉はトラブルのもとです。上司が部下に指示を出すとき等に、無意識に使って仕事に問題が起きたり、相手に失礼になっていることがありますので気をつけましょう。例/一応、多分、とりあえず、たくさん、早く、かなり、たまに、多め など
一応見直しました → 念のため見直しました とりあえず回答します → 取り急ぎ回答します 早めにはじめます → 10分早くはじめます 領収書を多めに作っておいて → 領収書の予備を10枚作っておいて ※数字を入れると正確に伝わります
『二重敬語』
丁寧にしようとし過ぎて間違った敬語になっていることがあります。思い込みや勘違いで誤用している場合もあるので注意しましょう。例/ ご覧になられる → ご覧になる おっしゃられる → おっしゃる 山田社長様 → 山田社長 ※社長などの役職は、それだけで敬称になるため様をつけると二重敬語になる
『今どき言葉』
上記の写真は弊社で開発した『コミュニケーションかるた』の一句です。いいことも、悪いことも「ヤバいっす」ってどういう事?と思いました。プライベートでは使ってもいいですが、仕事では悪印象なので使うのをやめましょう。例/ ○○の方は只今、外出をしております→○○は只今、外出をしております こちらでよろしかったですか → こちらでよろしいでしょうか こちらが商品になります → こちらが商品でございます なるほどですね → おっしゃる通りです 1万円からお預かりします → 1万円お預かりします
クッション言葉で相手への配慮を伝える
敬語は習得するのに時間がかかりますが、クッション言葉は覚えてすぐに実践できます。相手に「お願い」「依頼」「お断り」をする場面でクッション言葉を活用すると、柔らかい印象になります。お手数おかけしますが、ご記入いただけますでしょうか 恐れ入りますが、少々お待ちいただけますでしょうか よろしければ、本日お伺いしてもよろしいでしょうか 申し訳ございませんが、今回は欠席させていただきます 勝手申しますが、至急ご確認いただけますでしょうか ※クッション言葉+質問形(~してください→命令形、~していただけますでしょうか→質問形)でより印象アップ
丁寧な言葉遣いをして好感度アップ
仕事での丁寧な言葉遣いについて書きましたが、いかがでしょうか。上司の言葉遣いは、部下にも伝染します。まずは管理職の皆様がお手本となり、丁寧な言葉遣いをしてみませんか。言葉遣いを変えるだけで、お客様の印象もアップし業績にもつながります。また、未来の社会人である子ども達へ、正しい敬語、美しい日本語を啓蒙するのも、私達大人の役目ではないでしょうか。執筆者プロフィール
- 新人育成トレーナー
アイキャリア株式会社太田 章代 - 企業・団体でのコミュニケーション研修、ビジネスマナー研修など、2,000回以上(2023年現在)登壇。 プロフィール詳細
新着記事
-
- 新入社員研修で伝えたい『受講の心構え』|新人教育担当者様向け 2024年04月29日
-
- 勉強する人しない人の格差が広がる!社会人の1日平均勉強時間7分 2024年04月01日
-
- マニュアルでは新入社員は育たない!「やり方」+「あり方」で成長を促進する 2024年03月26日
カテゴリー